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建設経済新聞社
2022/09/22

【京都】美観風致審議会景観専門小委 京都国際会館展示施設増築など事前協議2件 京都産業大学(仮称)第3体育館建設計画など諮問2件審議

 京都市美観風致審議会景観専門小委員会が20日開催。事前協議の国立京都国際会館展示施設増築計画、(仮称)岩倉村松町有料老人ホーム造成計画の2件を審議するとともに、京都産業大学(仮称)第3体育館建設計画、(仮称)岩倉サービス付き高齢者向け住宅計画の諮問2件を審議した。
 国立京都国際会館展示施設増築計画は、京都市左京区岩倉大鷺町422の風致地区第2種地域において、国立京都国際会館T期施設の北側隣接地に増築し拡張する。令和3年度に新規事業化(U期としてSRC造2階建、延約4900uを増築、2000uの展示ホールなどを収容)、約52億円を投入する計画。
 市の美観風致審専門小委では、展示施設増築(ニューホールU期)、連絡歩廊、第3駐車場、歩廊上屋について審議した。増築面積は延4840・95u(建築面積3800・00u)。最高高さは15・4m。
 基壇部分は外壁ライン及びパラペット高さの踏襲により、アイレベルにおける輪郭の調和を図る。その上で、コンクリート打ち放しを基調とし、適宜ガラス、鋼製部材を利用したT期のデザインを踏襲する。屋根部分は可能な限りフラットなもので形成する。T期同様ガラスと鋼製部材を繊細な形で有効利用し、質感の調和を図りながら、現代的なデザインを北側に延伸する。
 屋根にガラス透過型太陽光発電、パネル型太陽光発電を設置する。
 建築と庭が融合する「庭屋一如」をコンセプトに、既存部分の要素を取り込んだ京都らしい設えによるランドスケープを創出する。
 新設する連絡歩廊は、既存築山を保持する柔らかなカーブを踏襲しながら、立体的な圧迫感を低減する浮かぶような屋根として整備する。鉄骨柱+均質な梁で構成された木質屋根とし、屋根仕上げは経年とともに自然環境に調和する金属仕上げとする。
 ニューホールU期計画に伴い、既存第1駐車場205台が50台に減るため、第3駐車場に150台分のスペースを確保、樹木を移植し車両出入口を新設する。
 新規事業採択時評価の試算によると、初期費用として建設費(合計)は51億8674万2000円を見込む。計画建物に約48億円、関連改修に約4億円。
 令和5年度〜7年度に工事を進め、7年度の完了を目指す。
 なお近畿地方整備局は令和4年10月、公募型プロポーザル方式でWTO対象の国立京都国際会館展示施設増築設計業務について、日建設計(大阪市中央区)を特定した。業務内容は国立京都国際会館展示施設の増築設計(基本設計、実施設計及び数量積算業務)。履行期間は令和5年3月3日まで。
 また国立京都国際会館展示施設敷地調査業務を令和3年12月に開札し、シードコンサルタント(奈良市)が落札した。

      ◇      

岩倉村松町有料老人ホーム造成
S造2階建、延2826u規模


 岩倉村松町有料老人ホーム造成計画は、京都市左京区岩倉村松町140−1他の市街化調整区域の風致地区第2種地域において、S造(耐火建築物)2階建、延2826u(建築面積1516u/1階1413u、2階1413u)の有料老人ホームの建設が計画されているもの。全室個室の60室を収容。居室面積は壁芯面積19u(ユニットトイレ除く有効面積は15u)。
 計画によると、現況の自然環境を生かすため、できるだけ切土を減らした造成とする。建築敷地の周辺に既存の樹木を生かして風致保全緑地を設け、計画地が見えにくいように配置する。前面道路に面して帯状に幅員10mの風致保全緑地を設定することで、周囲から直接見えにくいように配慮する。擁壁は必要最小限とし、法面とすることで圧迫感を低減する。擁壁の高さはなるべく低くする。視認される部分は3m以下の見え高とし、植栽等の修景を施すことで周辺に配慮する。入り口付近には施設利用者の憩いの場となるよう公園を設け、花が咲く木を植える。遊具(すべり台、ブランコ)やベンチを設置し、周辺の住民が利用できるようにし、交流が図れる場となるようにする。
 切土は約3300m3、盛土は約6500m3で、差し引き3200m3の不足土は、発生する構造部残土3200m3(建物基礎2500m3、擁壁600m3、排水施設等100m3)と相殺され、土砂の搬入は行わない予定。
 計画区域面積は2万0071・49u。内訳は建物・駐車場用地が5197・39u、緑地が2301・05u、擁壁が156・52u、風致保全緑地が1万2090・72u、講演が325・81u。
 植栽本数は緑地部分10uあたり、高木1本、低木2本。公園の植栽はハナミズキ、ヒラドツツジ。

      ◇      

京都産業大学の第3体育館
S造一部RC造2階建、延1147u


 京都産業大学の第3体育館建設計画は、学校法人京都産業大学(理事長大城光正氏、京都市北区上賀茂本山436)が北区上賀茂葵田町3−1他の風致地区第3種地域の敷地に、S造一部RC造2階建、延1147・65u(建築面積963・75u)の体育館を建設する。1階はアリーナ、教室、器具庫、倉庫、トイレなど、2階は更衣室、機械室、非常勤講師室などを配置。エレベータは1基。建物高さは9・95mで、遠望館と屋根の最高高さ、軒高さを揃える。
 計画地は遠望館の西側で現在テニスコートと薬草園がある。鞍馬街道からの景観を重視した建物配置とし、建物デザインは遠望館と調和させる。既存校舎と同様、寄棟屋根、金属板段葺き屋根とし統一感を図る。外壁はレンガタイルと、ALCパネルを採用。3つのパターンの目地入りALCパネルをランダムに配置する。
 建物を擁壁からセットバックすることで、周囲に厚みのある植栽帯を確保し、壁面の存在感を緩和させる。遠望館との隣棟間隔は10m以上確保する。遠望館との間は人工芝(325u)とし、準備運動やランニングなどの活動を行う。
 遠望館前面の既存ブリッジを延伸し、計画建物へのアプローチを形成する。
 植栽計画によると、樹種は神山の植生に合わせたカシ、サクラ、コバノミツバツツジ、アセビ等、本山キャンパスとの連続性に配慮したモミジ、サクラ、カツラ、シラカシ等を検討する。
 設計は類設計室(大阪市淀川区)。

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岩倉サービス付き高齢者向け住宅
4棟の分棟、延2476u


 岩倉サービス付き高齢者向け住宅計画は、椛蝸ム工務店(代表取締役猪坂英一氏、京都市左京区上高野上荒蒔町2−3)が京都市左京区岩倉長谷町575−6他の風致地区第2種地域の敷地2998・76uに、老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅)を新築する。
 岩倉小倉山の景観への影響をできる限り少なくし、敷地内の山林を適切に維持管理する計画。
 建物周囲4・5mを公示影響範囲とし、それ以外既存樹木は可能な限り保全する。工事影響範囲で伐採した部分は、建物から3〜4m離してモミジやサクラを中心とした植樹を行い、足元にはツツジを植樹する。
 居住棟の南側及び運営棟の北面は、周囲から建物を隠す目的でスギを植樹する。
 これら緑地部分は風致保全緑地として、適切に維持・管理するために建物完成後に保全緑地部分の分筆を行い、緑地の保全に努める。
 分棟型の建物配置とする。居住棟がW造地下1階地上2階建(最高高さ8・41m)、運営棟が壁式RC造地下1階地上2階建(最高高さ9・18m)、入口棟がRCラーメン造地下1階地上2階建(最高高さ9・49m)、居住棟と運営棟をつなぐ渡り廊下棟がS造平屋建で、合計で延2476・05u(建築面積899・17u)。建築物の高さは9・49m。
 居住棟は地下1階・1階・2階に1人部屋(約25u)を45戸、2人部屋(約30u)を6戸の全51戸を配置する。運営棟は地下1階にエントランスホール、事務所、1階に浴室、洗濯室、倉庫、2階に食堂、厨房を配置。居住棟、運営棟、入口棟にエレベーターを各1基設置する。運営棟屋根には太陽光パネルを設置する。
 設計はアーキネット京都1級建築士事務所(京都市中京区)。