県県土整備部は「建設工事請負契約書第26条」に基づくスライド条項の8月末時点の運用状況を明らかにした。単品スライドは、適用2件・協議中7件(2021年度適用4件)。インフレスライドについては、22年度の労務単価改定に伴い、適用3件・協議中20件(21年度適用4件・協議中1件)となっている。建設資材価格等の高騰は県内建設業に多大な影響を及ぼしている。スライド条項の運用は21年度と比較して活発化しているが、県内各地で行われている県と業界団体の意見交換会では資材価格高騰への対応に関する要望や質問が未だに多く見受けられる。この難局を乗り切るためには、受発注者双方の努力によるスライド条項の理解と、適切かつ積極的な運用が不可欠だ。
県は▽単品スライド(同条第5項)=特定の工事材料の価格に著しい変動が生じた場合に適用▽インフレスライド(同条第6項)=急激なインフレまたはデフレが生じ、短期的かつ急激に賃金水準または物価水準が変動した場合に適用▽全体スライド(同条第1〜4項)=契約締結日から1年経過した後に賃金水準または物価水準が変動した場合に適用――を運用している。
単品スライドは、残工期が2か月以上ある場合に請求できる。対象品目は鋼材類、燃料油、その他の主要な工事材料で、受発注者間で協議の上、決定する。スライド額の算定の対象は、品目ごとの変動額が請負代金額の1%を超える品目。
資材価格の急激な変動に伴い、国土交通省不動産・建設経済局建設業課長は6月24日、単品スライド条項の運用の一部変更について県土整備部長に通知した。これを受け、県土整備部長は、部内各課・各出先機関の長、各発注部局庁の長、各公営企業長、県内各市町村長、県内各建設業関係団体の長に通知を行った。
運用の一部変更により、工事材料の購入価格が適当な金額であることを証明する書類を提出した場合は、「実際の購入価格」の方が「購入した月の物価資料の単価」より高い場合であっても、「実際の購入価格」を用いて請負代金額を変更することなどが可能となった。
インフレスライドは、残工期が基準日(請求日を基本とし、請求日から起算して14日以内で受発注者が協議して定める日)から2か月以上の工事に適用できる。請求期限は直近の賃金水準の変更から次の賃金水準の変更がなされるまで。
賃金水準または物価水準の変動による請負代金額の変更額は、当該工事に係る変動額のうち請負代金額から、基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額の1%に相当する金額を超える額。
全体スライドは、契約日または直前の全体スライドによる契約金額変更の基準日から12か月を経過しており、原則として残工期が2か月以上ある工事に適用できる。
賃金水準または物価水準の変動による請負代金額の変更額は、当該工事に係る変動額のうち請負代金額から、基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額1・5%に相当する金額を超える額。
インフレスライドと全体スライドは、適用後に賃金水準が変更された場合、再度請求することができる。また、単品スライドとの併用が可能。
6日に計算例の/説明動画を追加
様式、運用の内容などは、技術管理課技術情報班のホームページ(https://www.pref.chiba.lg.jp/gikan/nyuu-kei/kensetsukouji/kitei-tsuuchi/suraido.html)に掲載されている。さらに、スライド条項活用に関するリーフレットを8月、スライド条項の計算例の説明動画を9月6日に追加した。