建通新聞社(神奈川)
2022/09/15
【神奈川】県 県民ホールの今後について検討始める
神奈川県は、県立県民ホール(本館)の今後の在り方について、検討を始める。全国屈指の大型文化施設として1975年の開館以来50年がたとうとしている中、施設や設備の面で県民や利用者の期待に応えられていない部分が目立ち始めており、「今後の在り方について幅広く意見を聞いて検討していく」(黒岩祐治知事)考えだ。検討に当たっては本年度内に各方面から意見を集める方針で、施設の整備・運営については民間活力の導入を視野に入れて事業者に意見を聞く準備を進めている。
9月12日の県議会本会議で、新井絹世議員(自民党)の代表質問に答えた。黒岩知事は「県民ホールは県の文化・芸術面で重要な役割を果たしているものの、施設や設備の老朽化、バリアフリー対応で県民や利用者の期待に応えられていない部分がある」と現状を認識。また、シーンごとに照明が切り替わったり、映像配信ができたりするなど、演劇やコンサートなどの演出面でデジタル技術への対応も遅れている点があるという。
〜整備・運営には民活も視野に〜
こうしたことから、今後の在り方について幅広く検討する必要があるとし、施設の整備・運営に当たって民間活力の導入なども視野に入れるために事業者に意見を聞く他、文化・芸術の専門家へのヒアリング、県民や利用者らへのアンケート調査を実施する考えだ。
年度内には意見を集める方向だが、今後の施策にどう反映していくかなどについては決まっていない。
新井議員からは「建て替えやPPP/PFIなど民間活用手法による事業も含め、幅広く検討してほしい」との要望もあった。
県民ホールは72年10月〜74年9月に建設し、75年1月に開館した。規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上6階建て延べ2万8476平方b。建設費などの総額は61億2189万円。
大ホールは広い舞台と充実した舞台機構を備え、オペラやバレエなどの大掛かりな公演にも対応できるなど多目的に利用されている。客席は3層構造で最大定員2493人。舞台はプロセニアム形式で間口20b、高さ10b、奥行18b。設備はピアノ2台、大迫り2基、オーケストラピット迫り、音響反射板、バトン54本、照明設備、音響設備、映写設備。楽屋8室、リハーサル室1室、特別室1室などがある。
小ホールは舞台奥にパイプオルガンを備えたオープンステージ形式のホール。客席は定員433人。設備はパイプオルガン、ピアノ2台、音響反射板、バック幕、つりバトン2本、音響設備、照明設備を備える。楽屋は2室ある。
この他、ギャラリー5展示室(床面積1311平方b)、大会議室1室(定員240人、床面積363平方b)、小会議室1室(定員24人、床面積65平方b)、食堂(200席)、喫茶室(24席)、駐車施設(屋内73台、屋外19台、主催者など用15台計107台分)、管理事務室、倉庫、機械室などがある。
所在地は横浜市中区山下町3ノ1。敷地面積は1万0946平方b。管理・運営は公益財団法人神奈川芸術文化財団。 提供:建通新聞社