三重・奈良・大阪リニア中央新幹線建設促進大会が9月6日、四日市市内で開かれ、2037年全線開業が確実なものとなるように、名古屋・大阪間の早期着工に向けて決議文を採択した。各県、自治体関係者をはじめ、国会議員や国土交通省、JR東海などからオンラインを含む330人が出席した。
リニアを取り巻く環境は大きく変化している。6月に閣議決定した骨太の方針で「全線開業の前倒しを図るため、建設主体が23年から名古屋・大阪間の環境影響評価に着手できるよう、沿線自治体と連携して、必要な指導、支援を行う」ことが明記された。岸田文雄首相が三重県に来訪した際にも奈良県知事と会談し「政府を挙げて応援するから、地元で強いリーダーシップを発揮してほしい」と後押しを受けていた。さらに、静岡県がリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に加入し、沿線10都府県がそろい踏みとなった。川勝平太静岡県知事は「ルートは変えない」ことを宣言した。
一見勝之三重県知事は主催者あいさつでこれらについて触れ、期待感を示すとともに「リニアの技術を世界に先駆けて実用化するのがわれわれの使命」と述べ、1日も早い全線開業に向けて関係者に協力を求めた。荒井正吾奈良県知事、吉村洋文大阪府知事も同様に国家プロジェクトとしての重要性を伝えるとともに、駅位置の早期決定を求め、関係者に協力を促した。
JR東海の金子慎社長は「大規模な災害に備えるため、東京大阪間を二重化する重要なプロジェクト。地域の活性化にも期待されている」と述べ「品川・名古屋間の開業に早期にめどをつけることが、名古屋・大阪間の早期着手につながる」と話した。
決議文には@37年全線開業に向け名古屋・大阪間の早期着工A名古屋・大阪間の環境影響評価手続きを23年から着手すること。詳細なルートと駅位置の早期確定B駅位置検討は広域におよぶ交通結節性の高い位置とする、乗り換え利便性の確保―が盛り込まれた。決議内容の具体化に向けて、政府や国土交通省を含めた関係省庁に要望活動を行っていく。
提供:建通新聞社