建通新聞社(静岡)
2022/09/05
【静岡】電子契約の実証実験開始 12月まで効果検証
静岡県が民間のクラウド型電子契約システムを利用して実施する実証実験が、9月から始まった。8月にオンラインで計3回開かれた事業者向け説明会には、県と契約を結んでいる企業や関係団体から約60者が出席。公共事業を受注している建設企業や建設コンサルタントも説明会には参加しており、12月まで行う実証実験に協力する見通しだという。県は23年度に電子契約を本格導入する考えだ。
実証実験は、2023年度に電子契約の本格導入を目指す県が、県と契約している事業者の協力を受けて実施する。県の工事・物品契約の受注者に電子契約を体験してもらい、契約事務の効率化、移動コストの削減といった効果を検証する。法的に効力があるのは、すでに結んでいる書面契約で、電子契約は実証実験用として法的には無効になる。
8月にオンラインで開かれた説明会では、実証実験で自社の電子契約システムを提供するGMOグローバルサイン・ホールディングス(東京都)が電子契約の効果や実証実験の手順を解説した。
実証実験では、書面契約の印鑑の代わりになる電子署名をGMOが提供する「立会人型」を採用。県が利用料を支払うため、契約の相手先である事業者は、無料でサービスを利用できる。本格導入時も事業者はインターネット環境さえあれば無料でサービスを利用できる。
事業者側は、県の契約担当課から署名依頼がメールで届くと、契約内容を確認した上で電子署名し、県担当者も内容を確認して電子署名すると契約は完了する。契約の相手先の事業者側にとっては「最短2〜3クリック、数分で契約が完了する」(同社)という。
事業者はアカウント登録しなくても県と電子契約を結ぶことができるが、無料アカウントを取得すれば同社のサーバーに電子書類として契約書を保管することもできる。
県は実証実験に参加した事業者に効果を検証してもらい、9月末に中間報告、12月に最終報告をまとめる。実証実験の成果を踏まえ、23年度の本格導入に向けた関連予算を要求する見通しだ。