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建通新聞社四国
2022/09/02

【香川】新香川県知事 池田豊人氏インタビュー

 8月28日に投票、即日開票された香川県知事選挙で、無所属新人で元国土交通省道路局長の池田豊人氏が初当選した。自民、国民民主、公明、立憲民主の4党の推薦を受け、建設業をはじめとした多くの企業、団体の支援を受けた圧勝だった。選挙戦を通じ県内各地を巡る中で「困っていること、課題は仕事の内容や地域によって違っていると実感した。感受性を高め、スピード感をもって県政に臨みたい」と述べるとともに、「香川県は発展の入り口の局面にあると感じた。県(行政)として適切なサポートを行って、全国のモデルとなる“上昇県”としていきたい」との意向を示した。新たな知事としてどのような施策を展開するつもりなのか話を聞いた。(香川支局=石居孝則)
 ―公約として掲げた“人生100年時代のフロンティア県”に向けて香川をどのように上昇させていくのか。
 「県民の暮らし、多くの産業に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症対策と物価対策に緊急に対応する必要がある。まずこの対策を最優先して実施する」
 「その上で取り組むべきなのが産業、生活、観光の3点の施策だと考えている。産業では、香川県は地理や気候に恵まれており農業、漁業、工業に向いている。その特性をもう一度意識しながら生かしていく」
 「生活では、日本全体の課題だが子どもの数を増やしていく必要がある。子育ての部分に社会的サポートを充実させていく」
 「観光では、瀬戸内海にはたくさんの島がある。コロナ禍で国内外からの来訪者が激減してしまったが、世界も注目している。名だたる景勝地に整備し資源として活用していきたい」
 ―香川県内のインフラの現状をどう見ているか。
 「四国の中では比較的整っているが、交差点での渋滞などボトルネックになるような箇所がある。県内の幹線道路である国道11号を見ても、市町間で整備の状況に差がある。まだ2車線の区間がかなり残っており、切れ目なく解消していきたい」
 「高松や坂出、丸亀、観音寺など県内には港町が多い。瀬戸内海の港が見直される時代になっている。物流の視点だけでなく観光資源としても着実に整備していきたい」
 ―県内建設業でも担い手不足の解消や生産性の向上が求められている。
 「国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策などにより当面の公共事業費は確保されていると考えている。ただし切れ目なくインフラ整備を進めるために技術者の確保が必要だ。日本の技術者を育てていくのはもちろんだが、海外の人にも技術者として活躍してもらう制度を検討していきたい」
 「インフラ整備は『着実にやる』ことが一番大切だと国土交通省在職時に痛感した。バブル期を経て建設投資が大きく伸びた一方、その反動から大幅に縮小した。この乱高下は建設業の経営を苦しめた。今後は『着実に投資を継続する』を県政で実現していく」
【略歴】東京大学大学院工学系研究科修了。1986年建設省(現国土交通省)採用、関東地方整備局道路部長、大臣官房技術審議官、近畿地方整備局長、道路局長を歴任。61歳。高松市出身。
提供:建通新聞社