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北陸工業新聞社
2022/09/01

【富山】大学生が工事現場を体験/整備局立山・黒部「キャンプ砂防2022」開く/「被害防ぐ意気感じた」(参加学生)

 大学生を対象とした「キャンプ砂防2022」が、8月22日から26日までの5日間の日程で開かれた。主催は北陸地方整備局立山砂防事務所と黒部河川事務所。協力が富山市、立山町、立山カルデラ砂防博物館。
 キャンプ砂防は、砂防を専攻する大学生を対象に、工事現場体験や中山間地域での生活体験を通して、砂防工事が行われている流域の現状や地域防災への取り組みを学んでもらうことで、学習意欲の喚起と職業意識の育成を図るのが狙い。
 これまでは立山砂防事務所が主催してきたが、今回は黒部河川事務所との合同。参加学生は、歴史ある砂防の地「立山」と秘境「黒部峡谷」の砂防事業について、事業の重要性と必要性に理解を深めた。参加者は信州大学の石原龍太氏、日本大学の金子竜己氏、筑波大学の濱野百音氏、信州大学大学院の我山真歩氏の4人。
 初日の22日は、立山砂防事務所で開講式が行われ、学生の自己紹介後、同事務所の三輪賢志事務所長が事務所と砂防事業の概要を解説した。続いて、富山市役所と立山町役場を訪れ、地域行政の状況などを学んだ。立山カルデラ砂防博物館も見学。23日は、立山カルデラ内の白岩砂防堰堤などを視察し、水谷出張所管内の砂防現場では、ICT施工の講習と実習、コンクリート打設を体験した。
 24日は、黒部峡谷鉄道宇奈月駅から欅平駅へ移動。砂防堰堤工事現場で、測量機器の現場実習やドローン操縦を体験し、現場を見て回った。欅平と宇奈月周辺も視察。25日は、宇奈月ダムで総合土砂管理のほか、操作室や監査路、排砂路などを学習。荒俣海岸と園家で、海岸領域の総合土砂を学び、黒部河川事務所では3次元データなどを勉強した。
 26日の最終日は、立山砂防事務所で報告会が行われ、各自がレポートを発表、意見交換会した。閉講式では修了証が授与された。
 参加した学生からは、▽全国的にも特殊な地形の砂防事業を学べ、大変有意義だった。閉鎖的な窪地に大量の砂防施設が存在している光景を目にし、何が何でも下流への被害を防ぐという意気を感じた▽厳しい自然条件、施工期間も限られた中で、様々な工夫のもと、流域全体を守るために尽力されていることを知れた▽砂防事業で人命を守ることと、自然環境の保全を両立させることは難儀だと思えた。砂防の使命を果たしつつ、環境のプロとその案を代替できる人材も必要と思った−といった意見・感想が寄せられた。

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