市原市は、面積約128haの「(仮称)市津の里」について、生息生物調査を2022年度と23年度の2か年で実施し、整備計画を策定する。里山や自然環境の維持保全に加え、環境学習や自然交流を目的とした活用を検討し、ゾーニングを定めていく。生息生物調査委託料については、9月補正予算案に総額2349万円の2か年継続費を設定。年割額は22年度850万円、23年度1499万円。
市津の里は、犬成、喜多、下野、古都辺、永吉にまたがり、市街化調整区域位置。東西を横断する主要地方道五井本納線と市道48号線(大仏通り)により、大きく3地区に分割されている。
全体の76%にあたる約97haが山林で、希少生物の存在が確認されている。
当該区域では、民間事業者(市津開発)が「市津緑の街」として研究施設誘致と住宅約2000戸の整備を計画していたが、社会情勢の変化により開発中止に至った。その後、民間事業者が市に無償譲渡を申し入れ、05年3月、乱開発を防ぎ自然環境を維持保全する観点からこれを受け入れた。
17年度には、維持保全および活用を目的として、民間事業者を対象とするサウンディング型市場調査を実施。8者からバイオマス発電、ハウス栽培事業、サッカースタジアム、合宿施設、老人福祉施設、森林整備、バイオマス燃料用の加工・中間土場、物流施設、商業施設、薬草パーク、研究施設、競走馬トレーニングセンター、クリニック、ホテル、宅地、クラインガルテン(農地賃借)、ドローン研修学校、研究開発などの提案が寄せられた。
しかし、事業地が広大で全域を対象とした活用が難しく、上下水道などの基盤整備がなされていないなど、課題が多いことから実現には至らなかった。
19年度に「(仮称)市津の里整備方針」を策定。当初の目的であった自然環境の維持保全を主眼に置いた整備を図っていくこととした。