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建設経済新聞社
2022/08/30

【京都】これまで以上に優先順位考慮 後期中期経営プランの課題に挙げる

 京都市上下水道局は29日、来年度からの後期5年間の中期経営プランに向けた今後の課題を明らかにした。
 上下水道事業経営ビジョン(2018−2027)とその前期5年間の実施計画として中期経営プラン(2018−2022)を策定し、各事業を推進している。令和4年度が最終年度となる前期中期経営プランでの取組・成果を踏まえ、令和4年度に後期中期経営プラン(2023−2027)を策定する。
 29日開催の上下水道事業経営審議委員会(委員長・水谷文俊神戸大学教授)に後期中期経営プランに向けた今後の課題を示した。
 経営審議委で吉川雅則京都市公営企業管理者上下水道局長は「令和4年度は、明治45年に水道事業が始まって110年という節目の年。それに加え新しい総合庁舎が5月に完成し、本庁機能を含めた京都市南部地域の業務・防災拠点となる。太秦の北部地域の拠点とともに、南北の両拠点が整備されたことになる。これにより、一層効率的かつ災害に強い体制づくりに取り組んでいきたい」「平成30年から取り組んでいる京(みやこ)の水ビジョンの前期5年間となる中期経営プランの最終年度、総仕上げの年となる。あわせて来年度からの後期5年間の中期経営プランの策定の年でもある。水需要の減少傾向、施設の老朽化など構造的な課題に加え、新型コロナウイルス感染症による大幅な料金収入の減収、国の積算基準の見直しや部材費、労務単価の上昇等による工事費、物価の上昇といったビジョン策定時には想定できなかった厳しい局面に直面している。こうした中、将来にわたって水道、下水道を守り続けていくために精一杯知恵を絞り、前期プランの総仕上げとともに、次のプランの策定に取り組んでいく」と述べた。
 後期5年間の中期経営プランに向けた今後の課題については、水需要の減少と料金・使用料収入の減少のほか、老朽化施設の増大として、水道事業、下水道事業ともに更新を行わなかった場合、20年後には管路の70%以上が老朽化する見通しを示した(老朽化率は令和2年度…水道管路37・2%、下水道管路17・6%→仮に今後更新を行わなかった場合の試算で20年後は水道管路74・6%、下水道管路77・9%)。
 これに加え、水道事業では工事費の算出に用いる国の積算基準が見直されたこと等の影響により、5年前に比べて工事費が約20〜30%増加。水道・下水道事業ともに上昇傾向にあった労務単価・資材単価や燃料費が近年の情勢により更に高騰している。
 企業債残高については、安価な上下水道料金を維持するため財源の多くを企業債(借金)としてきており、特に水道事業では企業債の残高が1年間の収入の6倍と他都市を大きく超える水準に達している。
 こうした状況を踏まえ、行財政改革計画において、下水道事業の企業債元金償還金に対する一般会計からの繰入金(出資金)を令和7年度末まで休止することとしている。
 後期プランに求められることとして、▽限られた事業費の中で、これまで以上に事業の優先順位を考慮し、管路・施設の改築更新・耐震化▽防災・危機管理/「雨に強いまちづくり」に向けた浸水対策▽広域化・広域連携の推進▽デジタル化の視点を踏まえた新たなサービスの展開/広報・広聴活動の推進/琵琶湖疏水の魅力発信▽低炭素社会の実現や循環型まちづくりへの貢献(温室効果ガス排出量削減の取組推進、下水汚泥の有効活用)▽技術力の向上・技術継承の推進/市民・事業者との更なる連携▽施設マネジメントの実施/財務体質の更なる強化(施設の長寿命化や効果的・効率的な維持管理に向けた取組推進、保有資産の有効活用等による増収策の実施)−を挙げた。
 後期プランは、ビジョンの施策体系に基づく取組・目標等をまとめた「事業推進計画」と、各取組を効率的に実施し健全な財務体質を築くための「経営基盤強化計画」の2つの計画で構成し、事業を着実に推進するとともに、業務執行体制の効率化や財政基盤の強化、施設マネジメントの推進などの取組を進める。