近江八幡市は、「西の湖」の賑わい及び魅力創出に向け検討・協議している再整備事業について、基本方針が定まったことを明らかにした。
内容を見ると、西の湖を「守り・活かす」ことを基本理念とし、唯一無二の風景と営みを次世代へと継承するため、拠点整備による回遊性向上や多様な主体を繋ぐプラットフォームの設置等により、地域一体となり賑わいと魅力の創出・定着を進める―と定めた。
今後は、具体的な施策及び事業化に向けた検討へと進めていく。トイレやインフラ施設が整っていないことや、湖内に放置された杭や放置艇による水郷めぐりやカヤック等の導入への障害など、解決すべき課題・問題が多くあることから、それらの対応策も含め、総合的な視野をもって事業を推進していく。
西の湖は、現存する琵琶湖の内湖で最大の面積を有しており、08年(平成20年)にラムサール条約湿地に選定、昨年(令和3年)には旧安土町側部分が国の重要文化的景観に追加され、一帯が重要文化的景観に登録されたことなどから話題の観光拠点であるが、気候変動や水質悪化などの影響により、アオコの発生やプラスチックゴミ問題が生じていることや、地場産業の後継者不足による衰退など多くの問題を抱えていることから、大切な地域資源として再生に向けた検討を進めているところ。
11年(平成23年)に産官学民によるまちづくり推進として、滋賀県立大学・近江八幡商工会議所・安土町商工会・近江八幡市―による4者連携協定を締結し、議論を進めてきた。過年度には会合を4回開き、▽これまでの経過を踏まえた意見交換▽基本方針策定に向けた各団体からの提案発表▽西の湖に関わる関係団体の情報共有と組織化―などを実施。直近となる第4回会合では、東京大学・京都大学・滋賀県立大学の学生を招き、西の湖活用提案発表会の場を設け、若い世代の指摘・意見を取り入れ、幅広い世代から理解を得られる方針策定に向け、議論を活発化させている。
3大学の学生が示した指摘・意見を見ると、にぎわいを取り戻すために▽湖水浴場の開設▽湖上キャンプ施設整備▽体験型道の駅設置▽カフェ・デッキ整備▽水上ライトアップ設備設置―などを提案し、解決すべき問題として▽廃船・放置船処理▽ヨシの更なる活用▽水質改善▽汚水浄化方法の開発―などを挙げた。
提供:滋賀産業新聞