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建通新聞社(静岡)
2022/08/24

【静岡】経営革新計画 建設業にも手厚い支援

 中小企業の商品開発や生産性向上を支援する「経営力向上計画」の静岡県内の2021年度の承認件数が、全国の都道府県で3番目に高い実績を上げている。計画の承認を受けた企業は、県の制度融資や補助金の支援を受けられ、新事業の立ち上げや本業の強化に必要な資金調達が可能だ。建設業の承認実績も全体の1割程度あり、承認を受けた企業は、ICT活用、脱炭素技術の開発、新分野への事業展開などで公的支援を受けている。
 中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画は、新商品の開発や生産性の向上、新製品の販売などの「新事業活動」で経営革新に取り組む中小企業が作成。都道府県知事の承認を受けると、計画に位置付けられた事業は、制度融資や補助金の支援対象になる。
 中小企業庁がまとめた都道府県別の承認件数(21年度実績)によると、静岡県の承認件数は574件となりは、埼玉県(1026件)、福岡県(870件)に次いで実績が高い。1999年以降の累計の実績は8019件に上る。
 静岡県は、承認企業に対し、県独自の「経営革新計画促進事業費補助金」を措置するなど、計画に盛り込まれた事業の支援に力を入れている。最高500万円を支援を受けられるこの補助金は、計画期間である5年間のうちに複数回の支援を受けることもできるという。
 経営革新計画の特長の一つは、業種の制約がなく、全業種の経営革新を支援できること。制度がスタートした1999年度から20年度までの実績では、製造業が全体の50%を占めるものの、建設業も全体の8・6%(642社)と全業種のうち4番目に承認企業が多い。建設業の周辺で事業を展開する建設資材販売などの企業を含めると、建設関連の企業への支援実績はさらに増える。
 県は、計画期間を終え、経営革新の成果を達成した企業を経営革新優秀賞として毎年表彰しており、21年度の最優秀賞には、土木建築サービス業のタイセン工業(焼津市)が選ばれた。2015年度に計画承認を受けた同社は、補強材を使用しなくても強度を確保できる「PCシステム構台」を開発。計画承認時の経常利益率を5年で3876・2%上昇させる記録的な伸びを見せたという。
 22年度に承認された建設業を見ても、「CNL(カーボンニュートラルLNG)を用いたガス圧接工法の開発・普及」(東海ガス圧接)、「空気循環型パッケージハウスの開発・販売」(山本技建)、「ICTの利活用による工期短縮と測量業務の内製化」(丸紅)といった事業の他、「オリジナルの大豆粉を使用したおからを出さない豆腐・豆乳の製造と新用途の開発」(林本建設)といった新事業の立ち上げを計画している企業もある。