創業57年目を迎えた茂興業は6月1日付で、シゲル・コーポレイションに社名を変更し、新社長に増村文武氏が就く新体制がスタート。増村社長は「防水業界の中で、品質・サービス、社員の幸福度NO・1を目指し、情報発信力や営業提案力、施工技術ノウハウを研さんしていきたい」との決意を示すとともに、社名の由来や、経営方針など熱き思いを伺った。
長年親しまれてきた『シゲル』の信頼および実績、イメージを踏まえ、旧社名から引き継ぐ形で頭文字に残したという。「茂るは事業がますます繁栄、発展する。そんな願いが含まれている」とかみしめる。
会社を1隻の船、自らを船長に例え「社員はかけがえのない船員。1人も落水者を出さず、働きがいを持てる、そういった職場環境づくりに力を尽くしていく」。本社と長岡営業所を含め、約50人と急激に社員が増えたという。営業部、工事部、総務部に加え、2021年9月に安全管理部を立ち上げた。「元請の工事が増えてきている中で、より主体性を持った安全管理が必要と考えた。各拠点間の連携を親密にしないとスムーズに進まない」。
従来からの人手不足に追い討ちを掛けた原油、資材価格の高騰など船のかじ取りが難しい時代となってきた。「アンテナをしっかり張り、情報収集力を高め、どんな荒波が来ても座礁することなく、変化に応じて決断力を磨くことが社員の雇用、生活を守ることにつながる」と強調する。
今は受注の約8割が改修や修繕工事。「我々が提案段階で仕掛けづくりができる」との姿勢を見せ、「昨年からタネをまいたものを含め、夏以降から多くの案件が発注される」と繁忙期を迎える一方で、施工対応力が重要だとの認識を示し「しっかりこなさなければならない。できる限りのやり繰りをした中で取り組み、人手不足もあるが少しでも効率化、生産性向上を追求していく」。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)を活用し、人手不足の中で施工対応力を上げる企業づくりを念頭に置く。「普段は危険で上れない工場や、建物の外壁面といった予備調査にドローン(空撮)を活用し、赤外線と組み合わせることでタイルの浮きなど足場を組まなくても劣化を把握できるシステムを構築する」。
『建物超寿命化支援企業』は、営業本部長時代に生み出したフレーズ。「(当社の)目指すべきイメージとして、御柱を考えた」と振り返る。今では重要なキーワードとなっており、改めてブランド名に掲げた。社会的使命に建物の長寿命化、安全対策、屋上の有効活用、環境の負荷低減の4つを挙げながら、「今後は屋上の有効活用に力を入れ、新しい味付け、多様性の時代に合った付加価値を提案していきたい」と前を見据えた。
ますむら・ふみたけ 1970年生まれ。52歳。上越市板倉区出身。モットーは「初志貫徹。続けることに意義がある」と誇らしげ。趣味はルアーを使用した海釣りで「9月からはアオリイカを狙いたい」と目を細め、自称社内で一番の映画好きと話し「トップガンのマーヴェリックは面白かった。絶対に劇場で観るべき」と笑みをこぼす。毎月1回発行の社外報「シゲルくん通信」ではシネマコラムを担当するほか、イラストも描く。