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建通新聞社(神奈川)
2022/08/19

【神奈川】横浜市 新たな研究開発機能の誘致、集積

 横浜市経済局は、市内経済の活性化策として、民間の研究開発機能の新たな戦略的誘致に取り組む。これまで企業誘致を進めてきたみなとみらい(MM)21地区の土地は9割以上が埋まり、新たな誘致には新たな土地の確保が課題となっている。新規開発用地が限られる中、工場跡地や企業の遊休地などを保全し、横浜市内に進出を希望する企業とのマッチングを行うなど、研究開発機能を誘導するための施策を検討する。
 これに向け「市内工業系用途地域の実態把握及び土地利用転換における研究開発機能等の誘導策検討調査業務」の委託先選定で公募型指名競争入札の手続きを開始した。参加資格は「市場・世論調査」と「コンサルティング(建設コンサル等を除く)」に登録している者で、所在地区分は「市内」か「準市内」で、規模区分が「中小企業」か「大企業」。入札・開札は9月5日。
 委託業務では、特定地域(工業系8地域約4000fと業務系5地域1900f)の土地利用の変遷と、市内全域の研究所約200カ所の立地状況を整理し、現状を分析する。このうち延べ床面積約5000平方b以上の大規模研究所を複数抽出して特徴や傾向を調べ、土地利用の実態や今後の動向を把握する。
 工業集積地域では5000平方b以上(臨海部地域は9000平方b以上)の土地など約230件について、土地ごとの基礎情報を整理したカルテを作成。適性を評価して2023年度以降、研究開発機能の集積に適したエリアを複数箇所抽出する。
 一方で市内に進出を希望する企業や研究開発機能の中核となりうる民間事業者への働き掛けとして、意見や設備投資の意向の聞き取り調査も行う。実際の土地利用に向けた課題や要望を整理し、必要な支援策を考える。
 調査業務の納期は23年3月。

〜工業系用途の保全策も検討〜

 研究開発機能の集積を前提に市内特定地域をみると、磯子地区や金沢地区を含む「臨海南部工業地域」は重要ターゲットの一つになりうる。既存のものづくり企業との連携など地域の活性化も期待できる。
 一方、理系の大学があったり人材を確保しやすかったりする内陸部の工業地域では、工場跡地などが住宅や物流施設に転用され住工混在≠フまちが形成されている。研究開発機能を呼び込むには、今後のまちづくりの方向性とともに、工業系の土地を保全する手法が鍵になる。
 経済局は今回の調査を基礎資料に建築局や都市整備局と連携し、時間をかけて工業系用途地域のまちの課題解決につながる施策を検討する。 提供:建通新聞社