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北陸工業新聞社
2022/08/18

【富山】賃金上昇、過去10年で最高/第1四半期建設業景況調査/東日本保証富山/来期は景気悪化傾向に

 東日本建設業保証富山支店はこのほど、2022年度第1回「建設業景況調査」をまとめた。
 景況調査は、建設企業の景気動向を総合的に迅速かつ的確に把握することを目的に実施しているもの。経営動向(地元建設業界の景気、受注、資金繰り、金融、資材、労務、収益の状況)、経営上の問題点について、毎年3、6、9、12月に郵送でアンケート調査を行っている。
 調査では、同社と取引関係のある建設企業から、地区別と業種別、規模別の分布状況を考慮し、経営動向を反映するに足りると認められる企業を対象とし、原則として固定。今回の県内回答企業数は59社で、項目ごとに4月から6月の今期(第1四半期)実績、7月から9月の来期見通しを算出した。
 第1四半期における項目別のB・S・I(景況判断指数)値を見ると、「業況等」の地元建設業界の景気は今期、悪い傾向から良い傾向に転じた。景気は約2年にわたり、悪い傾向が続いていたが、19年12月期以来、良い傾向を示した。来期は一転、悪い傾向が相当強まる方向で、今後の景気の先行きに悲観的な回答が多い結果となった。
 今期の「受注総額」は、減少傾向がかなり強まった。民間工事は減少傾向がやや弱まったものの、官公庁工事では減少傾向が若干強まった。来期の受注総額は減少傾向が続く見込みで、官公庁は今期と概ね同様の基調、民間は減少傾向が強まる見通し。
 「資金繰り」は今期、厳しい傾向から容易傾向に転じた。来期は厳しい傾向が顕著に強まるもよう。
 今期の「金融」は、銀行等貸出傾向で容易な傾向が続いている。短期借入金は、増加傾向から減少傾向に転じた。来期の銀行等貸出傾向は、今期と概ね同様の傾向が続く見通しで、短期借入金は増加傾向が著しく強まる見込み。
 今期の「資材」は、資材の調達で困難な傾向が強まっており、BSI値マイナス23・0は、過去10年で最も高い数値。資材価格も上昇傾向が相当強まっており、同マイナス38・0は、14年6月期以来の水準となった。来期は、資材の調達で困難な傾向が続き、資材価格も上昇傾向が続くもよう。
 今期の「労務」は、建設労働者の確保で困難な傾向が続いている。賃金は上昇傾向が著しく強まっており、過去10年で最も高い数値を示した。来期は、労働者の確保で困難な傾向が続き、賃金は上昇傾向が相当弱まる見込みだ。
 「収益」は今期、減少傾向が続いている。減少理由では、『完成工事高の減少』が依然トップとなったが、2番目の『資材価格の上昇』と回答するウエイトがかなり高まった。来期の収益は、減少傾向が顕著に強まるもようで、BSI値マイナス18・5は、17年12月期以来の水準となる見通し。
 今期の経営上の問題点は、『人手不足』が引き続きトップ。以下、『従業員の高齢化』、『受注の減少』、『資材価格の上昇』の順となった。
 なお、自社の業況は今期、悪い傾向がやや弱まった。来期は今期と概ね同様の傾向となる見込み。

hokuriku