京都市は、伏見区の向島ニュータウンの元向島中学校の跡地活用に乗り出す。跡地活用事業者の選定にはプロポーザル方式を採用。契約候補事業者選定委員会を設置し、8月26日に初会合を開く。
向島ニュータウンを巡っては、向島中学校区の向島南小学校・向島二の丸小学校・二の丸北小学校を統合し、向島中学校と合わせた施設一体型小中一貫校「向島秀蓮小中学校」を京都市教育委員会が整備。小中一貫校の整備で生まれた学校跡地活用については、向島二の丸小学校跡地(伏見区向島二ノ丸町151、敷地1万4302・51u)を一般財団法人あしなが育英会(東京都千代田区)が京都市から定期借地し既存校舎や体育館などを改修するとともに、一部新築して寄宿舎等を整備する計画がある。
向島二の丸小学校跡地東側で、平成31年3月に閉校した向島中学校跡地(伏見区向島二ノ丸町151−55、敷地1万6024u。校舎2棟、体育館、倉庫等がある)は、跡地の地元利用運営委員会が主体となって、まちづくり活動等に暫定的に利用している。
向島中学校跡地については、令和3年2月京都市会で代表質疑があり、門川大作市長が答弁。「向島中学校跡地は地域の活力やコミュニティを支える若者、子育て世代の移住・定住の受け皿となる住宅整備にも適した土地であり、住まいの近くで働ける場の創出や、高齢者なども安心して暮らせるまちとして、地域の求められる医療・福祉の充実も含め、地域の発展、魅力創出に資するように活用したい」「都市計画による規制の戦略的な見直しも含め、向島ニュータウンの活性化の取組を地域とともにスピード感を持って進めていく」などと方針を述べた。
その後、令和4年6月開催の第76回京都市都市計画審議会において、向島ニュータウンに関する用途地域の変更、高度地区の変更、一団地の住宅施設の変更、地区計画の決定の計4議案を審議し承認した。
向島ニュータウン地区は、まちびらきから50年近くが経過し、著しい人口減少や少子化、施設の老朽化などが進んでいることなどを踏まえ、用途地域及び高度地区を変更し、地区計画を策定することにより、ゆとりある緑豊かな居住環境の魅力を継承しつつ、職と住が近接した、身近な地域で暮らしと営みを支える多様な機能の誘導を図り、持続可能なまちの実現を目指す。合わせて向島団地一団地の住宅施設の都市計画を廃止する。
向島ニュータウン地区地区計画の対象は京都市伏見区向島渡シ場町、向島清水町、向島鷹場町、向島藤ノ木町、向島丸町、向島二ノ丸町及び向島四ツ谷池の各一部の約74・1f。
向島ニュータウン内の現在の市街地特性を踏まえ、地区を4つの地区、駅前商業地区(約1・2f)、センター商業地区(約7・8f)、高層住宅地区(約59・9f)、低層住宅地区(約5・2f)に区分し、それぞれの地区の特性に配慮した土地利用を誘導する。
向島中学校跡地は、高層住宅地区にある。
地区の方針によると、高層住宅地区は「ゆとりある空間配置の下で形成された高層住宅の市街地環境を維持・継承しながら、生活利便の向上や働く場の創出につながる新たな土地利用の誘導を図る」。
高層住宅地区は、用途地域・高度地区を「第一種中高層住居専用地域・20m第1種高度地区」から「第一種住居地域・20m第2種高度地区」に変更のうえ、地区整備計画に建築物等の用途の制限を定める。工場、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場、ホテル又は旅館、自動車教習所、畜舎(15u超)、倉庫、葬祭場を制限する。
高層住宅地区では用途地域の見直しにより、店舗、飲食店(500u超3000u以下)、オフィス(3000u以下)の用途が可能となる。
これらに加え、低層住宅地区を除く駅前商業地区、センター商業地区、高層住宅地区の3地区について、条件を満たす建築計画は高度地区の制限を適用しないこととする。条件は▽敷地面積が2000u以上のもの▽建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離が6m以上のもの▽建ぺい率が10分の5(50%)以下の敷地内におけるもの(街区の角にある敷地の場合は10分の6(60%)以下)。