県長浜土木事務所は、県と民間企業が連携し行う初の治水対策となる長浜市の三菱ケミカル鰹蒲Lグラウンドにおける「米川」の遊水地整備事業について、事業費や効率的な工法を精査するため21年度末まで延長し完了した予備設計と、並行して行ってきた地下水位モニタリング調査の結果をふまえ、遊水地の確保規模を貯水量約6300dにほぼ決定。引き続いて22年度の8月下旬から9月にも詳細設計の発注を公告し、23年12月末にも完了させたい考えだ。事業費や着工時期、工期は未確定だが、民有地を施工地に行う珍しい工事は同事務所から発注される見通しで、早期の着工を目指す。
米川の遊水地整備は、治水に係る地元要望などを受け、宅地等が多く用地を取得しての拡幅や改修が難しい「米川」で行える効果的な治水事業として、県長浜土木事務所が中心となり促進。近くの三菱ケミカル物流樺キ浜支店(長浜市一宮町)が所有し近隣住民などに開放している多目的グラウンド(同)を掘り下げ、会社利用と遊水地としての利用を両立させる案を申し入れたところ、地域の安全に資するとして同社が快諾。滋賀県と三菱ケミカル且賀事業所、そして長浜市の3者が協力・連携してこれを推進するための協定を20年3月30日付で締結した。
連携して整備するのは、三菱ケミカル鰍ェ所有する多目的グラウンド約1万平方b。現在、グラウンドの他、多目的広場、緑地、地震時の避難場所等として利用されている。計画では、中心部分を10年に一回程度の豪雨に対応できる遊水地(貯留量約6300d)として使用できるよう1b程度掘り下げ、併せて米川に隣接する東側に流入口・排水口、そして周辺に維持管理用道路、階段、樹木保存―などを施す。
これにより多目的グラウンドの形状は一部変更されるが平時は今まで同様、グランド・多目的広場等として活用を図り、万が一に備えるものとする。併せて掘り下げによって生じる土砂の処理は、地主である三菱ケミカルの意向をふまえた上で、他の公共工事への流用なども検討する。
協定を受けて県長浜土木事務所では20年度、予備設計を建設技術研究所(滋賀事務所・大津市)、測量業務をジオ・クリニック(長浜市)にそれぞれ委託。概略設計は中央コンサルタンツ(本社・名古屋市西区、滋賀事務所・大津市)が担当した。工法や規模・事業費について一層精査のため、予備設計は21年4月の完了期間を22年3月まで延長し、遊水地の想定貯留量などに大きな変動なく完了している。22年度は引き続いて8月下旬〜9月にも詳細設計を公告し、約14ヵ月間で進めたい考え。
提供:滋賀産業新聞