高知県と国土交通省四国地方整備局は建設事業調整会議を県庁で開いた。M田省司知事は「近年、頻発化・激甚化している豪雨災害により、防災・減災に資するインフラ整備の重要性が一段と高まっている。事業を計画的に執行していくためには、予算を安定的に確保することが必要だ」と述べ、国に対し継続した支援を求めた。これに対し荒瀬美和局長は「公共事業の前倒し執行を進めるなど、迅速で着実に予算執行していく」と述べた上で、「経済の好循環を果たすためにも賃上げの実現は不可欠で、そのためにも安定的・持続的な公共投資が重要だ」とさらなる予算確保が必要との認識を示した。
会議では、県が5項目を要望。このうち「四国8の字ネットワークの整備促進」では、「事業中箇所の早期開通、計画段階評価完了区間の早期事業化」などを求めた。これに対し荒瀬局長は「まずは事業中区間を一日でも早く開通できるよう全力で取り組む。事業化できていない区間の調査もしっかり進めたい」と理解を求めた。
また「海岸・河川の南海トラフ地震・津波対策の推進に向けた、防災・減災・国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策を推進する当初予算での確保」との県の要望に対しては、これまでの事業調整に感謝するとともに「着実な事業推進と予算確保に努めたい」と述べた。
豪雨などを踏まえた中小河川・ダムの治水対策に向けては、M田知事が「河川のボトルネック箇所の局部的な改修や浚渫を継続的に推進するには有利な地方債制度が必要不可欠」と制度継続を要請。荒瀬局長は「事業債は時限制度だが、計画的に整備を進めるには有効だ。われわれも要望するが、所管する総務省に働き掛けをお願いしたい」と返答した。
またM田知事は、香南市の海岸の地震・津波、高潮・侵食対策について、直轄事業での整備を要望。荒瀬局長は「地域住民からの強い要望は承知している。これからの海岸整備はまちづくりと連携しソフトとハードを組み合わせた総合的な取り組みが必要だ」との認識を示し、海岸保全基本計画の早急な見直しを求めた。
一方、整備局側は流域治水の推進、環瀬戸内海地域交流促進協議会、カーボンニュートラルポート形成、水門・陸閘の操作規則策定について県に理解と協力を求めた。
提供:建通新聞社