ネクスコ東日本新潟支社は21日、北陸自動車道下り線の柿崎IC〜米山IC間で実施している「米山トンネル補強工事」の現場をメディアに公開した。
米山トンネル(L=1616メートル)は1980年2月から81年11月にかけ建設。地山の荷重を鋼アーチ支保工と覆工コンクリートで支える矢板工法が採用されている。現在は内部の3区間で路面隆起や覆工変状が発生しており、対策個所計450メートルにおいてインバート設置工事が行われている。矢板工法で建設されたトンネルの全断面掘削によるインバート設置工事は、高速道路上のトンネルでは初めての試みとなる。トンネル周辺の湧水などによる土圧増加に対し、厚さ50センチのインバートを設置することでトンネルを閉合構造とし、安定性の向上を図る。
インバート設置にあたっては、地面掘削による既設コンクリート部分の沈下を抑制するため、4メートルの補強ボルトを左右3本ずつ、計1800本を1・5メートル間隔で設置し、覆工と地山を一体化。さらに、インバートはシミュレーションで沈下を防ぎつつ施工できると試算された6メートルピッチで施工している。現在の進ちょく率は50%ほどだという。インバート設置工事は10月31日に完了予定。復旧工事の後、11月末には区間内の交通規制が解除となる。
川上圭介長岡管理事務所長は本工事について、「次の日本を支える皆さんに安心安全な高速道路を引き継ぐためのもの。インバート設置でより快適な走行空間を提供し、将来に渡って高速道路の健全性が確保できると考えている」と意義を力強く語った。