京都市は22日、公契約審査委員会(委員長・牧紀男京都大学防災研究所教授)を開き、令和3年度契約審査専門部会の審議結果、公契約基本条例の取組状況などの報告を行った。
令和3年度契約審査専門部会の審議結果報告によると、第1回(令和3年10月29日開催)において、令和2年度に締結した契約のうち、契約金額3000万円以上の物品等の調達契約から、委員が抽出した4件(▽(単価契約)電力の供給(京都市立小学校・中学校(北区・18校)基本料金(常時電力)他2件)▽京都市特別定額給付金センター運営業務委託(申請受付・審査、システム構築等関係)▽軽油(その4)4−5月分、予定数量150キロリットル)▽水道メーター購入(A)TWDJ50)を審議。第2回(令和4年3月30日開催)において、令和2年度下半期及び3年度上半期に締結した契約のうち、契約金額2000万円以上の工事請負等の調達契約から、委員が抽出した4件(▽(総合評価)京都市立芸術大学移転整備工事ただし、C地区建築工事▽(総合評価)京都市立西院小学校整備工事ただし、南校舎棟ほか建築主体その他工事▽高速鉄道東西線信号保安設備更新工事その2▽西部1号2号分流幹線(その2)公共下水道工事)を審議した。
審議結果として、(単価契約)電力の供給(京都市立小学校・中学校(北区・18校)基本料金(常時電力)他2件について「契約方法に特に問題があったとは認められないが、『実態に即した予定価格の設定方法及び環境配慮の総合評価における入札を検討すること』」、軽油(その4)4−5月分、予定数量150キロリットル)について「契約方法に特に問題があったとは認められないが、『幅広く応札できるよう工夫を検討すること』」との指摘があった。上記2件以外の案件は契約方法に特に問題があったとは認められず、適切な契約方法であったことが確認されたとした。
市公契約基本条例の取組状況について、市内中小企業の受注等の機会の増大で工事は「令和3年度における市内中小企業受注率は、契約件数ベースで87・71%、契約金額ベースで64・36%」「市内中小企業以外の契約金額ベースの内訳をみると、WTO適用案件が約48%と最も高くなっている」「令和2年度と比べると、件数ベースで1・53ポイント増加、金額ベースで6・05ポイント増加している、この金額ベースでの増加は、京都市立芸大移転整備工事(約196億円、令和2年度)などのWTO適用案件の契約金額が減少した(約173億円)ことなどが影響している」「平成29年度から令和3年度までの5年間で、市内中小企業受注率の件数ベースは9割程度で推移しており、金額ベースは約6割程度で推移している」と報告した。
平成28年6月運用開始の「労働関係法令遵守状況報告書」制度については、令和3年度の対象公契約の割合は工事が20・60%(市全体1170件/対象件数241件)、業務が24・87%(市全体378件/対象件数94件)、指定管理が100%(市全体22件/対象件数22件)となっている。
令和3年度の提出状況をみると、工事は延べ2891者(実数2261者)、役務委託は延べ184者(実数114者)、指定管理は延べ32者(実数18者)で、是正対象者数は0。
週休2日モデル工事の実績(発注者指定方式)をみると、令和元年度が@対象件数3件A工事完了件数3件Bうち4週8休達成数2件C工事完了件数に占める4週8休達成数割合66・67%、令和2年度が@対象件数6件A工事完了件数6件Bうち4週8休達成数6件C工事完了件数に占める4週8休達成数割合100%、令和3年度が@対象件数20件A工事完了件数20件Bうち4週8休達成数20件C工事完了件数に占める4週8休達成数割合100%となっている。なお令和4年度は対象件数100件を見込む。
今後の方向性については「報告書提出の徹底や適切な指導等を通して、適正な労働環境の確保を図るとともに、常に制度・運用を点検し、見直しが必要ないか検討していく」「週2日の現場閉所を行うモデル工事の原則全案件適用により、引き続き建設業の働き方改革等の推進に取り組んでいく」とした。
公契約の適正な履行と質の確保について、令和3年度の落札率は工事89・74%、物品84・78%で、2年度と比べ、工事は0・36ポイント減少、物品は1・44ポイント減少している。
このほか、主なトピックスを報告。予定価格(税込)が2億円を超える工事契約における最低制限価格及び失格基準価格未満での応札者数の推移について、令和元年度は@入札件数34件A総応札者数220者Bうち価格未満の応札者数60者C価格未満応札者の割合27・27%(※予定価格が事後公表の工事契約を集計。以下同じ)、令和2年度は@入札件数32件A総応札者数284者Bうち価格未満の応札者数93者C価格未満応札者の割合32・75%、令和3年度は@入札件数46件A総応札者数445者Bうち価格未満の応札者数134者C価格未満応札者の割合30・11%。
不落件数の推移については、平成29年度は@入札件数567件Aうち不落件数12件B割合2・12%、平成30年度は@入札件数489件Aうち不落件数11件B割合2・25%、令和元年度は@入札件数599件Aうち不落件数7件B割合1・17%、令和2年度は@入札件数583件Aうち不落件数10件B割合1・72%、令和3年度は@入札件数421件Aうち不落件数5件B割合1・19%となり、約1〜2%で推移している。
公共工事設計労務単価の改定について、平成25年から10年連続で改定を実施。京都市では、この改定時に技能労働者の賃金水準の引上げ、法定福利費の適切な支払い、社会保険等への加入の徹底を事業者に要請。
京都府域の労務単価の推移を報告した([普通作業員]平成24年度1万3100円→令和4年度2万0100円、[鉄筋工]平成24年度1万6200円→令和4年度2万3900円、[大工]平成24年度1万6100円→令和4年度2万3100円)。