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北陸工業新聞社
2022/07/20

【新潟】休日少なく若手定着せず/21年度専門工事業実態調査/県建専連まとめ/25%が仕事量増加と回答

 一般社団法人新潟県建設専門工事業団体連合会(近喜男会長)は、2021年度の建設専門工事業実態調査報告書をまとめた。
 調査は21年10月に、391社を対象に実施し、262社(67・0%)から回答を得た。
 主な受注形態をみると、1次下請は67・7%で前回より2・1ポイント減少、2次下請が同0・1ポイント減の22・8%、3次下請は同0・5ポイント減の3・2%となった。年間売上では、「3億円以下」が前回より1・5ポイント増加の74・8%で、そのうち「1億円以下」の合計は40・4%(同0・9ポイント増)、「5000万円以下」が16・4%(同1・2ポイント増)だった。「10億円以上」は8%で前回から2・3ポイントの減少となっている。
 従業員数では「10人以下」の事業所が最も多く58・8%で前回より2・3ポイントの減少。「11―20人」は21・0%(同2・2ポイント減)、「21―50人」は16・0%(同2・3ポイント増)、「51人以上」は3・5%(同1・4ポイント減)だった。従業員の年齢構成は「40歳代」が最も多く前回から1・0ポイント減少の25・4%。次いで「50歳代」が0・6ポイント増の21・2%となっており、40歳代と50歳代で全体の46・6%を占める。「30歳代」は10・7%(同0・8ポイント増)、「60歳代」が16・6%(同1・3ポイント減)、「20歳代」は15・2%(同0・8ポイント増)と続く。なお、若手労働者が定着できない要因では「休日が少なすぎる」「作業がきつい」「作業が汚く格好悪い」が上位だった。
 就業規則などについては、休日制度が「完全週休2日制」の事業所は前回より1・9ポイント増加の6・1%、「月3回週休2日制(4週7休)」も同3・1ポイント増の4・2%、「月2回週休2日制(4週6休)」は同8・5ポイント減の52・3%となり、「月1回週休2日制(4週5休)」は同2・4ポイント増の14・9%だった。また、休日出勤について「きちんと休んでいる」は前回より1・1ポイント減って22・1%、「時々休日出勤がある」は67・9%(同1・4ポイント増)、「ほとんど休日出勤がある」は前回と同じ8・4%だった。休めない理由では「元請の問題・都合」が前回から0・9ポイント減の62・4%となっており、休めなかった時期については前回同様「7―9月」が最も多く50・2%(同8・3ポイント増)、「10―12月」が25・5%(同7・7ポイント減)と続く。
 社会保険などについては、「健康保険、厚生年金ともに加入している」が90・6%と前回より4・5ポイント増え、雇用保険加入は同0・4ポイント減少の94・7%。また、健康保険、厚生年金、雇用保険加入事業所で加入が「経営上の重荷になっている」は50・2%で前回より2・7ポイント減じたものの、5割以上が重荷と回答。「経営上重荷だが継続していきたい」は94・6%(同1・1ポイント減)、「やめたい」は2・3%(同1・3ポイント減)だった。
 賃金支払方法では、「完全月給」が前回より4・1ポイント増えて39・7%、「日給月給」が同1・3ポイント増えて29・8%となった。前回2番目に多かった「日給」は3番目となって同2・9ポイント減の26・6%だった。この1年間で賃金を引上げたかについて、「引上げた」は前回から2・8ポイント増えて47・7%、「引上げていない」と「引上げたいが引上げることができない」が合わせて48・5%(同0・2ポイント増)となっている。引上げることができない理由として6割以上が「受注価格(単価)が上がっていないから」と回答している。
 経営および今後の動向については、仕事量が1年前と比較して「減少した」と回答した事業所が最も多く前回比13・9ポイント減の41・6%、「変わらない」は同1・2ポイント増の32・4%、「増加した」は同13ポイント増の24・8%となり、「減少した」が「増加した」を16・8ポイント上回っている。減少率では「6―10%くらい」が前回比13ポイント増の29・4%で最多だった。受注単価に関しては、「変わらない」が最も多く前回より4・8ポイント増えて64・9%、「低下した」が同11ポイント減少の18・7%、「上昇した」が同6・2ポイント増加の14・9%となり、「低下した」が「上昇した」を3・8ポイント上回った。今後1年間の動向では、受注単価について「変わらないと思う」が50・4%と最多だが、仕事量および利益率は低下するとの見方が最も多く、「仕事量は減少すると思う」が48・1%(前回比17・2ポイント減)、「利益率は低下すると思う」が51・1%(同13・5ポイント減)だった。経営上の悩みでは、「従業員不足」が1位、「従業員の高齢化と若年者の入職がない」が2位、3位が「働き方改革への対応」と続いた。
 工事契約の価格決定については、「指値での押付け」が22・8%で、前回より5・3ポイント減少。契約・価格決定の時期は、「工事着手後」と「工事終了後」が合わせて23・8%となり、2割強の企業が工事着手前に契約や価格決定がされていないと回答している。元請との取引では、「工事期間」で63・4%、「工事額その他」で72・1%が不満と回答している。発注者と元請との工事契約が適正だと思わない割合は前回より9・2ポイント減って45・2%と5割を下回るが依然として多い状況が続く。適正でないと思うものは「金額」が49・8%と最も多かった。
 公共工事における発注者と元請との工事契約に関しては、前回比3・6ポイント減の55・4%が「適正だとは思えない」と回答。また、積算単価について「時々疑問を感じる」が前回より0・8ポイント減の42・6%で、「多くの疑問を感じる」の16・9%(同8・8ポイント減)を合わせると約6割が疑問を感じていると回答した。
 社会保険加入促進対策では、この1年間で社会保険等に加入したと回答した企業は4事業所。健康保険、厚生年金保険、雇用保険のいずれか1つでも未加入の企業で、「今後加入する方向で検討したい」が20・0%、「検討するが加入するか分からない」は50・0%、「検討も加入も考えない」が30・0%だった。標準見積書に関しては公共工事で元請に提出していると回答したのが前回より4・2ポイント増えて60・9%、民間では同0・6ポイント減の56・7%となった。標準見積書を提出して法定福利費を「ほとんどの工事でもらっている」はゼロで、「概ね5割以上の工事でもらっている」が47・1%(前年比0・1ポイント増)、「概ね5割未満の工事でもらっている」が24・7%(同2・1ポイント減)、「もらっていない」は18・4%(同1・3ポイント減)だった。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)については、「知っている」が75・6%と前回より3・4ポイント増加したが、「知らない」も同0・8ポイント増の22・1%だった。技能者登録では「登録(申請)している」が43・9%(前年比8・5ポイント増)、「登録(申請)をしたいと思っている」は14・5%(同5・3ポイント減)、「登録(申請)をしたいとは思っていない」と「分からない」を合わせると40・5%(同0・6ポイント増)となっている。
 新型コロナウイルス感染症の影響では、59・2%が「影響があった」と回答。「影響があった」の中で、「民間工事」が61・9%、「公共工事」が6・5%、「公共、民間の両方」が31・6%だった。影響の内容は「工事の中止」が27・5%、「工事の延期」が23・9%、「資材や材料の入荷遅れなど」が13・9%、「感染対策による経費の増(自社の出費増)など」が12・5%などの回答があった。

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