建通新聞社(静岡)
2022/07/20
【静岡】土砂基準への適合 地歴、土壌調査で証明
静岡県盛土条例の施行後、残土処分場に土砂を持ち込む建設業者が土地利用履歴や土壌調査の結果の提出を求められるケースが増えている。盛土条例には、盛土に使用する土砂の汚染を防止するための土砂基準が設けられており、条例で盛土とみなされる残土処分場も土砂の搬入前に汚染の恐れがないことを確認する必要があるためだ。
盛土条例が7月1日に施行され、県内全域の面積1000平方b以上か、土量1000立方b以上の盛土には県知事の許可が必要になった。土砂を運び入れる残土処分場もこの条例の許可の対象となるものの、条例施行前から営業している処分場は9カ月の経過措置があり、2023年4月1日までは許可を受けなくても営業を継続できる。
一方、熱海市の土石流に有害物質のフッ素が含まれていたことを受け、条例には汚染防止のための土砂基準が定められ、基準に適合しない土砂の盛土への使用を禁止している。許可と異なり、この土砂基準に経過措置はなく、盛土に使用する土砂にはこの基準への適合がすでに求められ、残土処分場に運び込まれる建設発生土も例外にはなっていない。
建設発生土に汚染の恐れがなく、土砂基準への適合を証明するためには、土地利用履歴か、土壌調査の結果の報告が必要だ。
住宅、山林、農地といった汚染の恐れのない用途では、土地利用履歴調査で土地の利用状況を証明する。具体的には、県が定めた「土地の利用状況等の調査結果書」で土地利用の履歴を報告。結果書には、土砂の発生場所が分かる図面(住宅地図、道路地図、地形図などのいずれか)と、土地利用履歴が分かる資料(写真、過去の国土地理院地図、過去の航空写真、土地・建物の登記簿の写しなどのいずれか)を添付する。
一方、汚染の恐れのある有害物質の製造・使用・貯蔵・処理を行っていた土地や、これらの土地に隣接した土地(工場の事務所、作業場、資材置場、倉庫などの他)では、土壌調査を行って証明書・分析結果・計量証明書を提出し、基準値を下回ることを明らかにしなくてはならない。
県は、土砂基準への適合が条例の「大前提」だとして、処分場に土砂を運び込む建設業に協力を呼び掛けている。