2022年度の建設事業関係功労国土交通大臣表彰に、富山県優良住宅協会代表理事(会長)で石原建築社長の石田保弘氏が選ばれた。長年にわたり建築工事業に精励するとともに、関係団体の役員として業界の発展に寄与した功績が認められた。受賞について「何も特別なことはしていない。建築に対し日々まじめに取り組んできただけ」と驚きつつも、「まじめに取り組んできたことが評価されたなら、うれしい。推挙していただいた協会にも感謝したい」と謙虚に受け止めている。
建築を志したのは高校生の頃。「もともと、父親が石工だったこともあり、ものづくりに関心があった。高校生の時に、大工石原建築(当時)でアルバイトしていた縁もあって入社した」。建築の道に入ってから来年で50年目を迎えるが、今なお現場に赴き汗を流している。
石原建築は創業以来、宮大工として技と知識を培ってきた。富山県内のみならず全国の寺社建築を手がけ、あらゆる工法に挑み続ける中、匠としての技術を磨き続けた。その技術は家づくりにも綿々と受け継がれている。「お客様の様々な要望に、木造在来工法により柔軟に対応し、丈夫な造りでデザイン性も高い」と自負。近年の省エネ志向から、低炭素住宅を標準仕様としている。
同社が本拠を置く富山市八尾町。「おわら風の盆」で有名なこの町は、伝統的な町屋建築が連なり、趣深く情緒あふれる雰囲気がある。この景観を残そうと、八尾町の工務店や建築設計事務所で匠の会「八匠」を結成。「この素晴らしい八尾のまち並みを維持していくことが誇りであり、喜び」と胸を張る。
富山県優良住宅協会では、国土交通省の補助を受け「木造住宅建築技術基礎講座 はじめの一歩塾」が昨年度開講。自身も講師を務めている。「社会人としての基礎から、労働安全衛生法、木造軸組住宅概論、建方、外装、内装施工法、道具工具類の取扱いといった基礎知識や技能を修得してもらっている」と、業界のさらなる発展に向け、若手技術者の育成に力を注いでいる。
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いしだ・やすひろ 1955年生まれ、67歳。高校卒業後に大工石原建築に入社。同社の前社長と石原建築を設立し、2005年に社長に就任した。富山県優良住宅協会では理事、副会長を歴任。20年に優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)を受賞。趣味はゴルフ。富山市八尾町井田在住。