甲賀市は、貴生川駅周辺地域の人口流出を留め、市特別エリアとするために各種施策を講じていくビッグプロジェクト「貴生川駅周辺整備事業」について、来年度から基本計画に着手する考えで、関係機関との調整を進めている。
現在、基本構想策定(担当=アジア航測)を進めているところで、同業務では▽駅南口整備▽官民連携のまちづくり▽杣川憩い空間整備▽駅前広場・ロータリー整備▽駅北口整備―などの整備内容の抽出・提案及び概算事業費の算出等を求めている。年度内には業務を完了させ、出来上がった成果品を軸に、来年度から基本計画に着手し同事業のアウトラインを描いていく考えだ。
なお、過年度から協議・検討を進めている、官民連携交流拠点施設新築工事は、土木設備の配置や建築施設の想定面積・各階配置イメージの立案等に加え、まちづくり会社設立の可能性など、検証・調査の余地があるとの判断からこちらも来年度に基本計画の策定となりそうだ。
同事業は、まちの利便性・暮らしの質感を高めることによって、地価を維持し固定資産税や法人税、住民税等の確保など、対象地の価値向上による税収の確保が図れることや、地域内の将来の公共投資を明らかにすることで、民間投資を呼び込むこと、JR草津線・信楽高原鐵道・近江鉄道―の3つの鉄道と、市内に張り巡らせたコミュニティバスの重要交通結節点である貴生川駅が魅力を高めることなど、市全体に好循環を生み出す施策となると市は認識しており、事業完了後の生み出す効果は大きなものと期待している。
対象地は、市立地適正化計画に定める貴生川駅周辺一帯。計画期間はおよそ20年程度を想定している。基本的な考え方として▽近畿圏の東の玄関口を創造する「ストーリー性」のある一体的な活用▽住民のニーズに合った「暮らしの拠点」機能の検討▽持続的な財政運営に繋げる「民間活力」の活用―の3つの柱を中心に、周辺の開発誘導や必要な都市機能の明確化などを意識した上で整備を行っていく。その際には、これまでの土地利用の「枠」にはめず、実現性を重視するための市場調査に基づく「現実的なプラン」となることを常に念頭に置きながら進めていく方針だ。
また、北側に勾配が概ね10〜20%の虫生野山、南側に一級河川杣川があり、杣川の両岸において有事の際の浸水が想定される区域が多く、それらの解消も急がれていることから関連工事として協議されていく見通しだ。
提供:滋賀産業新聞