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建設経済新聞社
2022/07/14

【京都】国道24号の電線共同溝工事 3Dプリンターの実用性検証 土木現場での射出は日本初 吉村建設工業

 吉村建設工業鰍ヘ13日、近畿地方整備局京都国道事務所発注の国道24号河原町十条地区電線共同溝工事で進める「コンクリート系建設用3Dプリンターによる現場施工」の見学会を開催した。
 建設分野で3Dプリンターを活用した施工技術開発が活発になる中、従来は工場内で射出した構造物を運搬し設置する手順で施工しているが、今回は土木工事の施工現場において直接3Dプリンターで構造物を造形し、品質・施工精度・施工効率などの知見を得るため、日本初の実証実験を行っている。

3Dプリンターによる施工
関係者巻き込み事例積上げ
現場での実装実現目指す

 見学会では、吉村建設工業鰍フ吉村成一取締役と、建設用3Dプリンターを中心とした建設業界特化型の技術開発及びサービスを提供する鰍oolyuseの岩本卓也代表取締役CEOが説明を行った。
 近畿地整京都国道事務所が発注した国道24号河原町十条地区電線共同溝工事は、京都市南区の河原町十条交差点付近で電線共同溝工、道路土工、縁石工(歩車道境界ブロック)ほかを行う内容。同工事では縁石工(歩車道境界ブロック)に3Dプリンターを適用する。
 従来プレキャスト既製品と人力によるコンクリート詰めを行っていた曲線部の歩車道境界ブロックの施工を、3Dプリンターで施工することによって3Dプリンターの実用性を検証する。
 実証実験では、@コンクリート2次製品を用いた従来方法A3Dプリンターを用いた施工(西側)、造形延長L2・3m(3Dプリンターで基礎コンクリート部を印刷後、現場に設置、その後に既製品の歩車道境界ブロックを設置)B3Dプリンターを用いた施工(東側)、造形延長L5・1m(3Dプリンターで基礎コンクリート+歩車道境界ブロックを一体化した状態で印刷し、現場に設置)C現場での3Dプリンターを用いた直接印刷施工(施工現場で直接、3Dプリンターで基礎コンクリート+歩車道境界ブロックを一体化した部材を印刷)の4パターンで施工を行う。
 3Dプリンターを用いて施工箇所で直接、歩車道境界ブロックを製作することにより、人力によるコンクリートの間詰めに要する手間を軽減でき、また長スパンを継ぎ目なしに造形することによって、従来工法よりも強度面で期待できるとし、将来的には3Dプリンターの使用で、型枠製作コストが不要となり、特異な形状のコンクリート製品を安価に製作できることが期待されるとしている。
 見学会で吉村建設工業の吉村取締役は「建設業が他産業に比べ自動化が遅れていると感じる中、海外での3Dプリンターの施工例を知り、その後、創業前のPolyuseのメンバーと出会った」「吉村建設工業敷地内で3Dプリンターによる集水桝の射出成型、埋設試験などを実施した」「建設業とPolyuseの橋渡し、ハブ的な役割を果たしていきたい」「3Dプリンターの特性に合わせて、合理的な箇所での適用を目指していきたい」などと述べ、Polyuseの岩本代表取締役CEOは「印刷は高さ1p、幅3pで、1日で3・5tの印刷が可能」「地場のゼネコンとコンソーシアムを組んで、施主も巻き込んで事例を積み上げ、展開していきたい」などと述べた。
 見学会には、近畿地整京都国道事務所の福島克章副所長らが参加した。参加者からは、マシンのサイズ、構造物を造形するまでの時間、射出するコンクリートの素材、強度など多くの質問があった。