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北陸工業新聞社
2022/07/13

【福井】国土交通大臣表彰/22年度/建設業功労(総合建設業)/辻敏彦氏/業会員とともに知恵を絞り貢献

 辻敏彦氏が、2022年度の国土交通大臣表彰、建設事業(総合建設業関係)功労者に輝いた。多年、建設業に精励し、関係団体の役員として地方業界の発展に寄与した功績が称えられた。業会員とともに知恵を絞り困難を乗り越えてきたと語る氏に、喜びの声を聞いた。

 ◆感謝 受賞に関し「業界の皆様と一緒に積み上げてきて、その上に成り立つもの」と謙虚に受け止める。23歳で建設業に入り44年、役員・理事歴は約30年と「それなりに年数をこなし、認めていただいたのかな」と素直な感想を述べる。
 ◆運命共同体 記憶に残るのは、22年前に日本海で起きたタンカー「ナホトカ号」の沈没事故。豊かな海を取り戻すため、海岸に漂着した大量の重油に立ち向かった住民とボランティアがいた。最初に理事メンバーで応援に駆けつけたところ、当初はスコップで掬ってドラム缶に回収しており、どこに何があるのかさえ把握できていない状態だった。機械による効率的な回収方法を提案し、回収する油のドラム缶、空のドラム缶がどの浜に何本なのか、的確に把握できるようにした。業会員で約1カ月間集中作業し、連携プレーで約1万本のドラム缶を回収処理。「豪雪時でもそうだが、役員や理事、業会員は災害復旧等に愚痴の一つも言わず協力してくれている」と周囲には感謝しきり。「ひとりでは所詮何もできない。皆がいるから良き知恵が出て、想像以上の動きができるようになる」と力を込める。
 ◆課題 人材や技術者の不足、担い手の高齢化など課題は尽きない。今では恒例となった敦賀工業高校の生徒らの現場見学会やインターンシップだが、20年前に「まず先生に現場見学会に来てもらい、納得、安心して頂いてからのスタートだった」と当時を振り返る。土木の地位は向上しつつあれど「果たしてどこまで理解されているのか」と率直な思いを露わにし「興味の入口を増やすことが大切」と強調。育成については「経験が物を言う世界でもあるから、フォローしながらもまず任せてみること」と話す。「楽しくなければ仕事じゃない」をモットーに、今後も業界の発展に尽力したいと笑みを浮かべた。
つじ・としひこ
67歳 辻組代表取締役
敦賀市疋田在住

【履歴】
芝浦工業大学工学部土木科卒業
前田建設工業 入社
辻組 入社
辻組代表取締役就任 91年

[民間団体]
敦賀建設業協会会長
敦賀総合建設事業協同組合理事長
福井県建設業協会常任理事
敦賀アスファルト合材事業協同組合専務理事
敦賀土木施工協同組合理事

hokuriku