北川賢一氏が、2022年度の国土交通大臣表彰、建設事業(専門工事業関係)功労者に輝いた。多年、鳶工事業に精励し、関係団体の役員として地方業界の発展に寄与した功績が称えられた。組合の仲間とともに、労務環境の充実等に力を注ぐ氏に、喜びの声を聞いた。
◆驚き 受賞については「このような賞をいただいて、大変驚いている」と正直な感想を述べた上で「他の理事さんと共に一生懸命やってきた結果で、自分個人ではなく鳶土工業協同組合を代表しての受賞」と強調する。
◆変化 時代とともに組合員の業務内容にも大きく変化が生じている。もともとは鳶工事や曳家工事の専門業者が多かったが、一般土木や仮設工事の業者も増えてきた。そんな中で「昔からの伝統的な技術を継承する人間が、だいぶ少なくなったのは事実。寂しく感じる部分もある」と率直な気持ちを表す。
◆労務環境 組合では技術を持つ職人の育成に向け、技能検定等によるバックアップに力を入れる。加えて氏は、労務環境の整備が重要と考える。「せっかく高い技術を持っていても、賃金が少ない等の理由で続けられないのでは意味がない。高品質の仕事がしっかり報われる環境を、確実に守ることが大事」と力を込める。
◆自信 また、職人自身が自分の技術を過小評価しているのではないかと危惧。「鳶の仕事は決して簡単なものではない。もっと自信や誇りを持ってほしいし、それが感じられるような機会を増やしたい」とし、木遣りや梯子乗りなどへの組合員の積極的な参加も促していく考えだ。
◆選択 建設業界では、若手入職者の減少が喫緊の課題。若い世代について「自分自身が仕事に満足するか。仕事を通して成長できるかを重視している」と分析。その上で「例えば、22歳と32歳ではやりたい仕事は当然違う。だからこそ会社の中で、本人がやりたい仕事ができるよう、選択性を提供することが大切」と指摘する。
きたがわ・けんいち
59歳 北八建設代表取締役
勝山市沢町在住
【履歴】
勝山高校卒業
福井大学工学部建設工学科卒業
石黒建設入社
北川建設(現・北八建設)入社
北八建設代表取締役就任 89年
〈関係団体役員〉
福井県鳶土工業協同組合副会長
福井県建物解体業協会副会長
福井県産業資源循環協会副会長
福井県木材チップ工業協同組合理事