建通新聞社
2022/07/12
【大阪】近畿地整 渡辺局長就任会見
国土交通省近畿地方整備局の渡辺学局長は8日に就任会見し、現場で働く技能者などの処遇改善について、「設計労務単価の引き上げを賃金上昇に結び付ける必要がある」との認識を示した。その上で、課題の解決に向けて適正価格での契約や適切な設計変更に「しっかり取り組む」と抱負を述べた。
渡辺局長は、「魅力ある建設産業の実現」を取り組み方針の一つに挙げた。建設業について、「地域の守り手としてもなくてはならない存在だ」述べる一方、「担い手の確保や、現場で働く人たちの処遇の改善が課題になっている」と指摘。解決に向けては、「やはり給与と休暇。設計労務単価が10年連続で引き上げられたが、それをしっかり賃金に結び付けることが大事。対策の一環として総合評価落札方式における加点措置なども取り組んでいるところだ」と説明した。
また、休暇の面では「週休2日を踏まえた適切な工期設定を基本原則とし、施工時期の平準化、適正な価格・工期での契約、および適切な設計変更にしっかり取り組む。そのためには、受発注者間のコミュニケーションが重要だと思っている。国の施策を民間や自治体にも伝えていきたい」との考えを示した。
さらに、「地整の使命」ともいう、「防災・減災、国土強靭化(きょうじんか)」の推進について、「日本は気象や地形などの関係から自然災害に見舞われることは避けられない。大事なのは事前防災を行い、被害を最小限に抑えること。治水、砂防、道路ネットワークなどのインフラの整備をしっかり進めたい」と述べた。
〜万博を関西の新たなまちづくりの一歩に〜
大阪関西万博を契機とした「関西の社会資本整備」については、「輸送交通や港の他、淀川舟運のさらなる活性化に向けた淀川大堰閘門の整備、また、万博のホスト国が出展するパビリオン『大阪・関西万博日本館』の整備もしっかりと進めていく」と強調。さらに、「今後、関西には万博以外にも、うめきた2期のまちびらきや、なにわ筋線、リニア中央新幹線の開業などが控え、民間投資も進んでいくと思われる。それらを、関西の新たなまちづくりの長期的な計画の一歩にできないか。関西を将来にわたって発展させていくためのインフラ整備に、地整が果たす役割は大きい。しっかり頑張っていく」と述べた。
略歴 1990年北海道大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。北陸地整企画部長、道路局道路交通管理課長、道路局環境安全・防災課長、大臣官房審議会(道路局担当)、首都高速道路執行役員を経て2022年7月1日付で近畿地整局長。1964年5月17日生まれ、58歳。北海道札幌市出身。