建通新聞社(静岡)
2022/07/08
【静岡】緊急輸送路の沿道建築物 耐震性無し87%
静岡県は、地震発生時に倒壊すると緊急輸送ルートの閉塞(へいそく)を招く沿道建築物について、耐震診断を義務付けた県内418棟のうち、411棟の診断が完了したことを明らかにした(6月14日時点)。診断が完了し、結果が県に報告された建築物は対象建築物の98・3%で、このうち耐震性が無い建築物は358棟。県は2023年1月に診断結果を公表する。
緊急輸送ルート沿道の建築物が倒壊すると、地震発生時の救急・消火活動、物資輸送などを妨げることになり、避難や復旧の遅れを招く。
耐震改修促進法では、都道府県が指定する緊急輸送ルートの沿道で、倒壊すると道路の過半を閉塞する高さ6b超の建築物を「要安全確認計画記載建築物」と位置付け、所有者に耐震診断の実施を義務付けている。診断結果も、地方自治体が定める期限までに報告しなくてはならない。
県は、東名・新東名高速道路のインターチェンジと災害対策本部・災害拠点病院を結ぶ道路など、総延長690`を対象路線に指定し、沿道にある418棟に診断の実施を義務付けている。診断費用は全額を県が補助し、静岡県建築士事務所協会に一括で委託して診断に伴う所有者の負担も軽減した。
県によると、6月までに対象建築物の98・3%に当たる411棟の診断結果が報告(1棟は確認中)され、このうち耐震性能が基準を満たしていない建築物は358棟あったという。未報告の6棟についても診断の実施と診断結果の報告を指導するとしている。
県は23年1月に診断結果を公表する他、耐震性のない建築物については、静岡県住宅・建築物耐震化推進協議会から専門家を派遣したり、工事費を最大で80%まで補助できる支援制度の活用を促すなど、所有者に耐震化を働き掛ける。