愛媛県は上水道と簡易水道を対象にした「水道広域化推進プラン案」をまとめた。県内の水道事業20事業者と二つの水道企業団(南予・津島)について、水需要や更新投資の予測を踏まえ、広域化による効果をシミュレーションした結果、協議が進行中の南予地域でまずは津島水道企業団と宇和島市の統合を目指し、将来的に施設の共同設置・共同利用や南予水道企業団と用水受水事業者との統合の可能性も視野に入れた協議を進めることが望ましいとした。7月下旬のプラン策定を目指す。
プランによると、人口減少に伴い、水需要は18年度から2058年度までに県全体で有収水量が29・0%減の9772万7000立方b、給水収益が30・4%減って157億円になると試算。また、施設の老朽化に伴い更新投資も年平均投資額が1・4倍の216億円に増加すると予測。財政シミュレーションでは58年度時点で2806億円の収支不足が生じる見込みとなった。
そこで▽施設の共同設置・共同利用▽事務の広域的処理▽経営統合(経営の一体化・事業統合)―の広域化メニューごとに効果を分析。全ての広域化メニューを23年度から実施した場合、58年度までに県全体で315億円程度の削減効果が見込まれ、給水原価も広域化しなかった場合と比べ1立方b当たり8・5円抑制されるとし、広域化の効果と意義を示している。
広域化の推進に当たっては、事業統合する方針で協議が進められている津島水道企業団の宇和島市への事業の全部譲渡(事業廃止)が具体化する見通しだ。統合に向け22年度に嵐水場機械設備更新工事、23年度に長野浄水場機械設備更新工事、23・24年度に中央監視設備更新工事、24年度に狩津浄水場機械設備更新工事を進めることになっており、プランでは、24年度をめどに統合することが望ましいとした。
一方で東予地域と中予地域では施設の共同設置・共同利用による一定の効果が見込まれないことから、事務の広域的処理について今後協議の場を設けることを提案している。
これを受けて県は、水道事業の広域化をはじめ、水道の基盤強化に向けた具体的実施計画となる水道基盤強化計画の早期策定を目指す。
提供:建通新聞社