建通新聞社は、国土交通省が「ダンピング対策の見える化」などの施策を打ち出したことを受け、岐阜県内42市町村を対象に入札に関するアンケートを実施した。積算基準の一般管理費「68%」について既に15自治体が導入している一方で、独自基準を設けている自治体もあった。今日から全自治体の入札制度の集計結果概要を連載する。
このアンケートは、国交省や中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)が低入札価格調査基準制度の一般管理費など算入率を引き上げたことを受け、本紙が独自に実施したもの。対象は、42市町村の契約などに関連する課・係。5月下旬から6月中旬にかけて実施し、全市町村から回答を得た。
=積算基準=
積算基準について、既に一般管理費の算入率「68%」を設定しているのは15自治体。具体的な時期を定め新基準への移行を決定しているのは7自治体だった。中央公契連モデルに準拠する・目指している自治体が多い中、現在、輪之内町と垂井町、揖斐川町、池田町、大野町の西濃圏域内の5町については「非公表」と回答。職員らが入札以外の業務も兼務しており手が回らないという小規模自治体ならではの悩みが浮き彫りになり、価格算出の透明性・公平性の確保という観点において課題が残る結果となった。
=一般競争の予定価格=
一般競争入札の予定価格について、工事や業務の工種・業種、価格に応じて事前もしくは事後公表している自治体がほとんどだったのに対し、池田町、関ヶ原町は「非公表」だった。その理由について、池田町は「予定価格が目安となって競争が制限される恐れがあるため」と答えた。関ケ原町は「今後、公表に向け検討する」と回答。予定価格を公表していない場合、積算方法などの妥当性を検証することが難しくなる。受注者が適正な利益を確保できるかを検証するためにも公表することが望まれる。
=予定価格を適時決定は2自治体=
さらに、一般競争入札の予定価格について、羽島市は工事と業務ともに指名審査委員会で対象案件を決定すると回答。中津川市は工事について適時選定し、業務については基準を設けていないことが分かった。
=低入札価格調査制度=
工事について未導入と答えた自治体は、その理由について「最低制限価格の設定」を理由に挙げ、それを下回ったものは失格にすると回答した。業務について未導入としている自治体の中には、「今後検討する」といった回答がある一方、必要性が認められないという回答も多く寄せられた。
=最低制限価格=
最低制限価格の公表・非公表について、その理由を問うたところ、公表する理由として官製談合の防止と答える自治体が多かった。また、事後公表の理由については、最低制限価格で、くじ引きによる落札者決定の回数が多くなり、公正な競争が確保されなくなるといった弊害を危惧する答えが多く寄せられた。一方で、非公表の理由としても、不良工事や品質低下のおそれがあるなどの回答を得たが、事後公表をしない理由についてはその必要性を感じない、制度が整っていないなどと回答するにとどまり、入札経過の透明性確保を図るためとは言い難い結果となった。
建通新聞社