トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(静岡)
2022/06/20

【静岡】県道・下田市道の管理 「包括的民間委託」導入へ

 静岡県と下田市は、下田市内の県道・市道の管理への「包括的民間委託」の導入を検討している。現在は別々に発注している小規模修繕と除草を包括的に委託するだけでなく、県道と市道を一括で面的に管理し、道路管理の効率化と管理水準の向上を狙う。道路管理の成果指標を設け、委託した民間事業者の達成状況に応じて報酬を支払う「指標連動方式」の採用も検討する。2023年度の試行を目指している。
 国土交通省の「インフラの維持管理・修繕等に係る官民連携事業の導入検討支援」の22年度の対象事業に採択された。県と下田市は、21年度も同省の支援を受けて包括的な道路管理について検討し、事業者へのサウンディング調査なども行った。22年度の支援事業の中で、契約方式などを固める。
 現在、下田市内では、県道の小規模修繕、除草、道路パトロール、補修などを下田土木事務所がそれぞれ発注。下田市は小規模修繕を外部に発注しているが、除草は直営で行っている。
 このうち、県道と市道の小規模修繕と除草を包括的に民間に委託する考え。県は下田市と隣接する松崎町で自動運転の実証実験を行っており、自動運転の将来的な実用化もにらみ、県・市で異なる道路の管理水準を向上させる狙いもある。
 公共性の高い事業の運営を民間に委ね、その運営資金も民間資金で賄う「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」の導入も検討する。この中で、道路の機能・持続性についての指標を設け、達成状況に応じて報酬を支払う「成果連動方式」も活用する。
 県・下田市がイメージしているのは、東京都府中市が導入している道路包括管理だ。府中市では、14年度に市内の一部の道路・街路樹の維持管理を大手・地元業者でつくる企業グループに包括的に委託。21年度からは市全域を対象に広げ、本運用に移行した。
 ただ、市道のみが対象の府中市と異なり、県と市は管理者が異なる道路管理を一括で委託することを検討している。22年度に県・市を支援する国交省は、「都道府県道と市町村道の面的な包括委託は、全国的に見ても極めて珍しい試み。管理者が異なることで生じる非効率性の解消が期待できる」(総合政策局社会資本整備政策課)と話している。