多賀町は、多賀町ため池ハザードマップに基づき、尼子地区が管理する「尼子池」について、耐震化に向けた改修に取り組む。近く8月にも事業計画作成を含めたコンサル業務を発注し委託、年度内に業務をまとめ、23年度にも申請手続きを行い、24年度の事業採択を目指す方針。現時点では事業採択後、町の所管となれば町が、県の所管となれば県が、25年度にも詳細設計を発注し、26年度にも初弾工事の発注・着工―へと進む見通しだ。
「尼子池」は、農業用水の確保を目的に、谷をせき止めて築造され、現在は利水はもとより動植物の生息・生育環境としての貴重な役割を担っている。池の規模は堤長35b、堤高8・6b、満水時水深7・1b、貯水量約1000立方bで築造時期は不明。
機能維持のための取水施設の改修は行われているが、施設の耐用能力を超える大雨や大規模な地震が発生した場合、堤防が損傷を受け決壊に至る可能性がある。万が一ため池が決壊した場合、池の下流には短時間で大量の水が押し寄せる危険性が「多賀町ため池ハザードマップ」で指摘されており、防災・減災に向けた耐震化など改修整備計画の作成を決定。また池の近くには後から整備された名神高速道路が通り、下流域には人家が多数あるなども懸念材料となっている。
20年3月作成の「多賀町ため池ハザードマップ」におけるはん濫シミュレーションでは、尼子池のごく近くの範囲では建物1階の水没やW造家屋の流出の危険性が高い「危険度V」、それ以外の一帯では床下浸水程度の「危険度T」を示している。
提供:滋賀産業新聞