建通新聞社(静岡)
2022/05/30
【静岡】静岡県の入札不調・不落対策 県技士会が技術支援
静岡県は、県発注工事の入札不調・不落対策として、静岡県土木施工管理技士会(中村嘉宏会長)に技術支援を依頼した。設計と現場条件の不一致が理由で入札不調・不落が発生した工事について、県技士会から技術者を派遣してもらい、設計図書の修正に施工者側の意見を反映する。設計段階にある案件にも技術者の派遣を求め、土木コンサルタントからの技術提案などの実現性を検証してもらう。
施工者の意見を設計に取り入れることで、設計・施工の手戻りを防止する他、仮設計画・施工計画の不備、設計との不整合が原因となる入札不調・不落の発生を防ぐ。
技術支援の対象は、設計と現地の不整合が原因で入札不調・不落が発生したと想定される工事の他、設計業務を委託中の案件でも、県が土木コンサルタントの設計に施工者の意見が必要と判断すれば、技術支援の対象にできる。
県技士会が派遣する技術者は、所属する企業が異なる2者以上とし、技術的な客観性を担保する。派遣技術者は必要に応じて現場にも立ち会うが、その際に土木コンサルタントの参加は求めない。技術支援の成果は、再入札の公告時に静岡県共同利用電子入札システム 入札情報サービス(PPI)で参考資料として公開する。
県はこれまでも建設業協会の地区協会(沼津、島田、浜松)から技術支援を受けており、支援を依頼する団体に県技士会を追加する。2022年度中は試行とし、県技士会も当面は無償で技術者を派遣する。県は、22年度上半期の試行の成果を踏まえて必要経費を把握。県技士会に委託する形で技術支援を続ける考えだ。
「施工者へのしわ寄せ≠ネくす」
県技士会の中村会長は「手戻りのない工事が受注者にとっては理想」と強調した上で、「県技士会が土木コンサルタントや発注者の仕事を補完する役割を担い、設計と現場条件の不一致が原因となる施工者側へのしわ寄せをなくしていきたい」と話し、今回の技術支援に期待を寄せている。