任期満了に伴う穴水町長選で初当選し、町政のかじ取り役を担い3カ月以上が経過した吉村光輝氏。公約に掲げる政策的経費などを盛り込む6月補正予算案の編成作業が本格化する中、まちづくりや教育環境など、今後の取り組みを聞いた。
少子化に対応した教育環境の充実を図るため、穴水、向洋の2小学校を統合し、新校舎の整備を計画している。今後、保護者や地区住民らを対象とした説明会を開催、建設場所や学校形態、通学手段など全体イメージを提示する。「9月をめどに基本計画を固め、財源確保などに見通しが立てば粛々と事業を進めていきたい」と話す。
移住・定住施策では、宅地開発など適地調査の結果を踏まえ、長期計画の中でエリアごとに供給する区画や戸数などを検討する。「諸橋、甲地区などに暮らす住民らが交通利便性の高いまちなかへ住み替えるといったニーズにも応えていきたい」と意欲を見せる。高齢者が自立した生活を送れるよう専用の共同住宅を核とした施設整備の可能性も視野に入れる。
新たな観光スポットの開拓も公約に掲げている施策の一つ。町内では能登ワインが一番の集客を誇っており、これまでに能登長寿大仏周辺の観光地化にも取り組んできた。今後は、かつて鋳物文化が盛んだった中居地区に焦点を当てる。「結構な数の寺社が集中しており、内海の美しい景色もある。そこをもう少し磨き上げて、観光に生かしていければ」と力を込める。
このほかに町内各所の文化や景色、風習などの再検証にも取り組み、「町全域を周遊できるような観光スポットを作りたい。点が面になるように進めていければ」。
コロナ禍の影響で全国的に広がりを見せるIT企業などサテライトオフィスの誘致や、公立穴水総合病院の建物や設備、運営体制の近代化も重点施策に掲げる。
8000人弱が暮らす穴水町。「これくらいの人口規模の自治体なら、いろんな実験的な取り組みができると思う。公共交通や遠隔医療などさまざまな問題に、町が積極的に挑戦して課題を解決し、住みよいまちにしていきたい」と、町政運営に全身全霊を注ぐ決意をにじませる。
よしむら・こうき 明治学院大法学部卒。2011年から穴水町議を務め、副議長、議長を歴任し、3期目途中の昨年12月に辞職。1月の穴水町長選に立候補し、無投票で初当選した。町長の任期は2月2日から4年間。52歳。