京都府は、府営水道ビジョン(第2次)の検討の中で、企業団化による経営の一体化を含めた経営形態のあるべき姿を検討することを盛り込むとともに、今後35年間の更新事業費の試算結果を示した。
府は、府営水道の給水エリア全体における将来の長期的な水需要を見通すため、平成30年(2018年)から40年間の水需要予測を実施。10市町の1日平均給水量(中位値)は20万2000m3から13万6000m3まで約33%減少する推計結果となった。給水人口は66万5000人から47万7000人の約28%の減少を見込み、給水人口の減少より早いペースで水需要が減少する推計結果となった。なお1日最大給水量(高位値)は約30%の減少を見込む。
長期的な施設の更新需要の算定では、現状の資産を今後も同規模で維持しつつ、更新基準年数で更新した場合の更新需要を試算した。
更新事業の見通し期間は、水道ビジョンの計画始期である令和5年(2023年)から水需要予測の終期である令和39年(2057年)までの35年間。
更新需要の見通しの試算結果によると、35年間で構造物・設備が603億円、管路が124億円の合計で727億円を見込む(管路の更新は長期の事業期間が必要なため総事業費を平準化して計上)。
また令和5年(2023年)から令和14年(2032年)の10年間の資本的収支の見通しを試算。建設改良費は令和5年度が29億4600万円、6年度が23億7800万円、7年度が9億5300万円、8年度が18億3300万円、9年度が26億5700万円、10年度が23億9800万円、11年度が28億3100万円、12年度が24億5000万円、13年度が22億円、14年度が25億6600万円。
今後の水需要減少を想定し、府と受水市町全体での適正な施設規模を検討するため、府営水道と関係10市町の浄水場計21ヵ所の施設統合案として2つのケース(大規模集約案、小規模分散案)を作成した。
大規模集約を念頭に府営水道の施設を維持し、市町の施設を削減する統合ケース@は、浄水場を9ヵ所に集約する案(統廃合対象は宇治市の西小倉浄水場、城陽市の第1浄水場、第2浄水場、第3浄水場、久御山町の佐古浄水場、木津川市の宮ノ裏浄水場、精華町の北稲浄水場、旭第1・第2浄水場、柘榴浄水場、向日市の物集女西浄水場、長岡京市の東第2浄水場、大山崎町の夏目浄水場。
小規模分散を念頭に府営水道の施設を削減し、市町の施設を維持する統合ケースAは、浄水場を13ヵ所に集約する案(統廃合対象は京都府の宇治浄水場、乙訓浄水場、宇治市の西小倉浄水場、城陽市の第1浄水場、久御山町の佐古浄水場、木津川市の宮ノ裏浄水場、精華町の北稲浄水場、旭第1・第2浄水場、柘榴浄水場。
広域化・広域連携、経営形態のあり方については「今後、京都府では受水市町との企業団化による経営の一体化を含めた、経営形態のあるべき姿についての検討を進める」とした。その実現には長期的な検討・調整が必要なため、業務の共同化や施設の一体管理など、実現可能な取り組みから推進するとともに、並行して企業団化も視野に検討を進める考え。
企業団化の例として、例1(配水まで統合…資産の保有と管理は全て企業団)、例2(浄水のみ統合…浄水場のみ企業団が保有管理)、例3(浄水管理を一体化…保有は市町、浄水場の管理は企業団)を示した。
水道ビジョン(第2次)については、ビジョン検討部会で議論を重ね、令和4年7月頃に素案、9月頃に中間案をまとめ、12月頃〜5年1月頃にパブリックコメントを実施した上で最終案を固め、令和5年3月頃までに新ビジョンとして公表する予定。