建通新聞社(静岡)
2022/05/19
【静岡】水道事業を広域連携 耐震化など遅れ
静岡県と県内の市町などは、水道事業の広域連携に向けた本格的な検討に入った。人口減少に伴って水道需要が低下する中、県内の水道事業も水道インフラの老朽化や耐震化の遅れといった課題に直面しており、「事業統合」「経営の一体化」「施設の共同化」などの手法で事業を広域化し、経営基盤の強化を狙う。2022年度中に県内全体の「水道広域化推進プラン」をまとめ、広域化のための方向性を示す。
高度経済成長期に水道の拡張整備が進んだことにより、水道施設の老朽化や耐震化の遅れが全国的に課題になっている。対策の必要性が年々高まっている一方で、給水人口5万人を下回る小規模な水道事業を運営する市町村は全市町村の半数以上を占めている。
市町村が区域を越えて水道事業を運営すれば、経営面でスケールメリットが生まれ、老朽化対策や耐震化に財源を投じることもできるようになる。
政府は、18年の水道法改正で、都道府県に広域連携の推進役としての責務を規定。都道府県と市町村が連携し、まず水道広域化推進プランを22年度末までに策定するよう要請。その上で、広域化した区域単位で、水道法に基づく「水道基盤強化計画」をまとめるよう求めている。
静岡県内の水道事業も基幹管路(導水管、送水管、配水本管)の20年度末時点の耐震適合率が延長ベースで42・5%にとどまるなど、整備の遅れが目立つ。
県は、20年度に県内の市町などと検討会を立ち上げ、広域化の効果を圏域別に検証。5月には、この検討会を発展させた「静岡県水道広域連携全体会議」を発足させた。全体会議では、今夏にも水道広域化推進プランの素案をまとめ、各市町の議会・首長との合意形成に入るとした。合意が得られれば、23年3月にプランを最終決定する見通しだ。
広域連携には、経営主体も事業も一つに統合した「事業統合」、経営主体は同一だが事業は別形態の「経営の一体化」、水道施設(取水場、浄水場など)を共同で設置する「施設の共同化」などの他、災害時の相互応援体制の整備、資材の共同調達など緩やかに事業運営を連携する手法もあるという。