農林水産省東海農政局は5月18日、明治用水頭首工(豊田市室町他)で発生した原因不明の大規模な漏水事故について小林勝利局長らが会見し、15日に漏水を確認以後、砕石投入による閉塞を試みたが回復できず、18日に取水がストップした経緯などを説明した。小林局長は、「水を安定的に供給するという責務がある」とし、「今回の事態を申し訳なく思っている。なるべく早く必要な水を確保する」と述べ、工業用水に必要な水量の確保とともに、原因究明に向けての調査、対策方法を検討する考えを示した。
漏水は、頭首工の上流側にできた穴から吸い込まれた水が、堰の地下などいずれかを通って下流側で噴き出したものと想定される。吸い込み口は頭首工の上流側左岸側で、エプロン部の上流側付近。深さは河床部から4〜5b程度と想定。噴き出し口は頭首工下流側のエプロン部の護床工との境の辺りを想定。17日に漏水範囲が拡大し、取水量が大幅に減少したことから、17日に対策本部を設置した。原因は現時点では不明とし、また、以前に実施した頭首工の耐震工事も施工箇所とは異なることから関係性は低いとするものの不明とした。
質疑の中で、2021年12月にも、同頭首工の左岸付近で小規模の漏水があり、上・下流ともに今回の漏水箇所に近接していたこと、また、その際には投石などの対処で、回復したものの、以後1割程度の漏水が継続していたことを説明した。今回とは異なる箇所ではあるが、関連性の有無については不明とした。
対策方法については、砕石による投石、地盤を固める薬液注入、流入部の周囲の締め切りなどが想定できるものの、該当箇所の原因を調査する中で関係機関、専門家などの意見を聞きながら検討するものとし、時期についても未定とした。
水の確保については、工業用水、農業用水、上水道のうち、工業用水を優先し、必要量の毎秒3立方bの確保を目指す。17日から頭首工の上流側にポンプを設置し、18日までにポンプ25台を確保できるめどがついた。今後、汲み上げるために水の流れを変える工事とともにポンプを設置し、早期に毎秒1・72立方bを確保する。吸い上げた水は、明治幹線水路に流し、工業用水として活用する。さらに19台を追加して、必要量を確保する。ポンプ設置のうち、当初分は水資源機構、近隣で別工事を受注している建設業者に要請しており、今後、他の地方農政局、国土交通省中部地方整備局にも要請し、農業用水として確保する考え。上水道は、他のルートからの流用で対応する。
提供:建通新聞社