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鹿児島建設新聞
2022/05/17

【鹿児島】潮流 県内建設業の月間定期給与/21年平均 28.2万円にアップ/10年間で4万弱の伸び

 県内建設業(事業所規模5人以上)の2021年平均月間定期給与額が28万2746円となり、前年から2万円程度アップしたことが分かった。この10年間でも4万円近く上昇し、利益率の改善が給与にも反映されつつある状況。担い手確保や賃上げへの対応が求められる中、懸命な企業努力が続く。
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長)

 県の毎月勤労統計調査によると、建設業の21年平均定期給与額(超過労働給与含む、賞与は除く)は事業所規模5人以上が28万2746円(前年比7.5%増)、同30人以上は31万5572円(同3.1%減)となった=表参照=。超過労働給与を含んだ金額とあって一概に判断しづらい部分もあるが、少なくともこの10年ほどで3〜4万円ほど上昇していることは総体的な傾向として受け止めたい。
 その背景にあると考えられるのが、業界の利益率改善に向けた動きだ。14年の品確法改正で「適正利潤の確保」が明文化され、公共工事では労務単価の年次的な上昇や最低制限価格の引き上げ、積算基準の見直しなどが進んだ。以前揶揄(やゆ)されていた「実績重視の赤字受注」のフレーズも耳にする機会が少なくなり、担い手の確保・育成に向けた新3K(給与・休暇・希望)を実現させるための基盤づくりが各面から進められている。


■資材高騰で先行き懸念も

 産業全体の21年平均定期給与額(事業所規模5人以上)は22万3935円。内訳は、男性28万369円、女性17万2003円だった。
 産業分類別(15分類、男女計)でみると、最も高いのは電気・ガス・熱供給等の40万9312円。これに、情報通信業(34万3791円)、金融業・保険業(30万2444円)、学術研究等(28万6525円)と続き、建設業(28万2746円)は5番目だった。
 賃上げへの対応が求められる中、各産業でベースアップに向けた懸命な企業努力が続いている状況。ただ、新型コロナウイルスの影響が大きかった業種はその落ち込みを取り戻すのに必死で、足踏みせざるを得ないところもある。体力のある大手企業と比べて、小規模企業の対応は難しく、「格差が一層広がるのでは…」との声も出ているのが実情だ。
 給与や休日確保など、担い手を呼び込むための環境整備に力を入れる建設業界。深刻化するウクライナ情勢を受けて、建設資材はさらなる値上げが懸念されているが、少なくともこうした影響が給与に及ぶようなことがあってはならない。


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