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建通新聞社(神奈川)
2022/05/16

【神奈川】京急 鉄道に231億円を投資

 京浜急行電鉄(横浜市西区)は、2022年度の鉄道事業への設備投資として231億円を計上した。21年度の実績151億円から80億円の増加となる。大師線連続立体交差事業では大師橋駅と小島新田駅の駅舎建築工事を実施。さらにホームドアの設置や自然災害への対策工事なども含め、安全対策に208億円を投入する。
 過去の設備投資の実績を見ると、17〜19年度は218億〜248億円。一方、20、21年度はコロナ禍により運賃収入が減り投資を抑制したため、それぞれ154億円、155億円と減少していた。22年度も厳しい経営状況ではあるものの、人身事故が19年度に23件、20年度に24件、21年度に36件と増加傾向であることを踏まえ、設備投資額をコロナ禍以前の水準に戻した。
 大師線と品川駅付近(泉岳寺駅〜新馬場駅)の連続立体交差事業には、合わせて35億円を投資。大師線では、第1期@区間である東門前駅〜小島新田駅間の延長980bで工事を推進する。同区間は19年に線路を地下に切り替え済み。23年度の工事完了に向け、22年度には以前の地上部線路の整備に加え、大師橋駅と小島新田駅の地上部出入り口となる駅舎を建設する。駅舎の施工は、大師橋駅を鹿島・西松建設・大豊建設JV、小島新田駅を東急建設・京急建設・安藤ハザマJVが担当。
 1期の残り約1200bの区間(川崎大師駅〜東門前駅)でも、A区間として地下化工事を行う予定で、鈴木町駅方面との接続方法を川崎市と調整中だ。
 品川駅付近では、国道15号と交差する北品川第一踏切道など3カ所の踏切を除却するため高架化工事を推進。また、品川駅を地平化するとともに、線路を3線から4線へ変更する。
 ホームドア設置工事には37億円を計上する。22、23年度の2カ年度で▽生麦▽京急東神奈川▽日ノ出町▽弘明寺▽杉田▽金沢文庫▽金沢八景▽汐入▽梅屋敷▽八丁畷―の10駅で施工。23年度末には全72駅のうち19駅で設置が完了することとなる。35年ごろまでに全駅への整備を目指す。
 防災などの安全対策には44億円を充てる。神奈川駅付近にある石積擁壁と日ノ出町駅・南太田駅付近の高架橋脚で耐震補強を実施。京急大津〜馬堀海岸駅間と六浦〜神武寺駅間では法面防護工事を行う。
 駅の改良工事には約36億円を投じる。黄金町駅と京急東神奈川駅ではホーム上屋を延伸。エレベーターは上大岡駅、エスカレーターは金沢文庫駅と追浜駅、天空橋駅で省エネルギータイプの機器に更新する。また▽京急川崎▽川崎大師▽京急大津▽YRP野比▽羽田空港第3ターミナル駅▽大森町▽梅屋敷▽穴守稲荷▽雑色―の9駅、車両24両で照明設備をLED化し、環境負荷の低減を狙う。川崎変電所では浸水・高潮対策として、架台に変圧器を移設する。
 踏切安全対策には23億円を計上。19年9月に踏切道の事故で車両が脱線したことを踏まえ、異常を検知するための設備を増設する。33カ所の踏切を対象として運転士に異常を知らせる発光信号機を設置し、3カ所で3次元レーザーを用いた障害物検知装置を導入する。
 この他、羽田空港第1・第2ターミナル駅の引き上げ線新設や車両更新工事、非対面窓口の設置などを行う。 提供:建通新聞社