今年度、滋賀県土木交通部長に就任した門間俊幸氏に、県土木行政について話を伺った。
―先ずは、昨年4月に県土木交通部の理事に就任されて1年が経ちましたが、滋賀県の印象はいかがですか
門間部長(以下、部長)京都市の出身ですのである程度、滋賀県のことは分かっているつもりでした。寺社仏閣や昔の街並みなどを中心とした歴史ある姿は他府県に負けない魅力を感じています。しかし実際には、当たり前のことを知らなかった、ということが多々ありました。例えば琵琶湖でいえば、上流である滋賀県と下流の京都府・大阪府では立場が大きく違う点で、「飲水思源」の考えを基に互いに想いやることの大切さを痛感しています。
―県の道路事情についてはどのように感じられていますか
部長 ご承知の通り、滋賀県では名神高速道路が早くに整備されました。その結果、国道1号・8号、いわゆる一桁国道の改良が遅れています。関西と東海をつなぐポテンシャルの高い地域であり、物流の視点から整備をしていくことが重要で、国・県・市町の連携を図り、山手幹線などの幹線道路の早期完成と、それをつなぐ放射道路の整備が課題ですね。
―組織運営についてのお考えは
部長 今年度の組織目標として「安全・安心を支える地域づくり」、「生活や産業を支える地域づくり」、「魅力ある暮らしを支える地域づくり」―以上3点を掲げています。それに公共事業の計画的な執行と建設DXの推進、建設産業の活性化・担い手の確保、そしてグリーンインフラ、CO2ネットゼロ推進の視点を踏まえて取り入れた事業の推進―を図ってまいります。
―今年度の入札制度改革についてはいかがですか
部長 滋賀県では昨年、契約に関する条例と、その取り組み方針を策定しました。例えば条例では、適切な仕様書の作成、ダンピングの防止、計画的な発注、地域経済の活性化―などです。それを実現するため、経営事項審査では女性活躍を強化し、主観的評価項目でより評価していきます。また総合評価ではICT対象工事を拡大。女性活躍を表彰年度から評価。週休2日制については、土・日を休みとする4週8休制を評価。建設キャリアアップシステムについては、技能者が利用するものについて評価―などです。また継続となりますが、受注機会の拡大を図る観点から、各格付けの対象工事金額を継続で拡大しています。さらに入札参加資格申請の市町との共同化も今年度からの大きな変更点となります。
―今年度の事業で注目されるものは
部長 道路では山手幹線(大津能登川長浜線)の上部工事とそれに関係する側道橋工事、神郷彦根線と伊香立浜大津線の下部工、原松原線のトンネル舗装、設備および交差点取り付けなど。河川ではJR委託となりますが日野川橋梁の架け替え、安曇川の河川掘削、百瀬川の天井川区間を解消するための河川改良など。砂防では滝川、正谷川、丹生川の堰堤などですね。建築では低層の公共建築物を原則、木造化していくことです。
―予算執行についてお願いします
部長 今年度の土木交通部の公共事業費は昨年度の繰り越しを加え約840億円です。令和7年度に開催される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の関連事業や道路整備にしっかりと取り組んでまいります。そのためにも、上半期に約7割の執行を考えております。
―建設産業の活性化については
部長 地域に密着した地域の担い手を将来にわたって確保することが求められています。若い方が入ってこない業界構造を変えていくためにも、出前講座やけんせつみらいフェスタなど業界の方々と手を携えて取り組んでまいります。
―本日はありがとうございました
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門間俊幸(もんま としゆき)氏は、平成9年3月京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程修了の後、同年4月建設省入省、平成26年4月兵庫県県土整備部土木局道路企画課長、平成28年4月国土交通省道路局総務課高速道路経営管理室企画専門官、平成30年国土交通省道路局環境安全・防災課道路計画調整官、令和2年国土交通省道路局企画課評価室長を経て、令和3年4月滋賀県土木交通部理事(公共事業調整担当)。昭和46年10月生まれ。京都市出身。
提供:滋賀産業新聞