名古屋市と東邦ガスは、港区のみなとアクルス開発事業において、両者で連携して脱炭素化の取り組みを強化する。東邦ガスが進める2期地区の工事では、水素コージェネレーション発電を新たに導入する他、名古屋市の既存太陽光発電・ごみ発電による再生可能エネルギー電源の供給を受けるなどして、1期地区を合わせた全体街区で脱炭素化を実現させる考えだ。今後、エネルギーシステム設計を具体化させ2カ年程度かけて詳細を決めるとともに、2023年度内にエネルギーシステムの工事着手を目指す方針。25年度にエネルギーシステム工事を完了させるスケジュールを見込む。
両者は、「再開発地区で実現する脱炭素コンパクトシティモデル」を環境省に共同提案。同省の脱炭素先行地域(第1回)に選定された。みなとアクルスの1期地区と2期地区が対象。
提案によると、東邦ガスはみなとアクルス開発で太陽光発電設備を650`h以上増強する他、風力発電(5`h)を新規導入する。名古屋市のごみ焼却工場(猪子石工場、南陽工場、富田工場)のごみ発電と、太陽光発電(大清水処分場、なごや生物多様性センター)の再生エネルギー電源(5カ所合計1万6700`h)を脱炭素先行地域に供給する。東邦ガスは、名古屋市以外の再エネ調達(バイオマス発電など)も行い、「太陽光発電とごみ発電を核とする広域再エネグリッド」を構築する。脱炭素先行区域内では、EMSによりAI制御を実施、太陽光発電、大型蓄電池、CNガス発電、水素発電、風力発電が協調してオフサイトとの連携を図るとした。
2期地区は全体面積約11f。2期地区内には「サブエネルギーセンター」を設置する計画。1期地区のエネルギーセンターとあわせ、太陽光発電、運河熱源ヒートポンプ、水素コージェネレーション発電、CNガス発電、風力発電、蓄電池を設ける。水素コージェネレーション発電は、水素供給の観点から2期地区北西側にあるエコステーション近隣地が望ましいため、サブエネルギーセンター内に設ける可能性が高いと同社は説明。他の発電施設のうち、どの機能をサブエネルギーセンターに盛り込むかは今後の検討の中で決めるとした。
2期地区内には9施設を想定していると説明。都市計画上は大部分が複合業務エリアで、オフィスビルや教育施設、医療施設、福祉施設を導入機能としている。エコステーションの東側隣接部は住宅(最大400世帯)。
2期地区の基盤整備は、21年4月ごろに現場着手した。施工は鹿島が担当。エネルギー分野の設計は日建設計、基盤整備の設計は日本設計がそれぞれ担当している。
エネルギーシステム工事に続く工事は、進出事業者により異なるが、24年度後半以降の現場着手を想定。28年度末までの2期まちびらきを予定している。
提供:建通新聞社