日本工業経済新聞社(群馬)
2022/04/27
【群馬】中之条町が木材活用センター整備に着手
中之条町は5月中に木材活用センターの整備工事を発注する。同センターは森林整備や木材加工の拠点で、地域林業の振興や雇用創出を図る。木材加工などはユハラ(中之条町)が運営、端材を木材チップに加工し、町有施設などで利用する。建設地は旧沢田小学校(下沢渡964−1)。町からの発注は4件で◇チップ工場など整備工事◇電気設備工事◇既存校舎改修など準備工事◇舗装工事−となっている。いずれも指名競争入札で業者選定を行う。ユハラは製材所や加工所の整備工事発注を担当する。
木材活用センターは、旧沢田小学校の校舎および敷地へ整備する。町内の森林整備や木材加工、木材品消費活性化などの拠点とする構想。官民が連携して進める事業となっており、運営業務は公募型プロポーザルにより、製材業を営むユハラを指定した。業務期間は20年間。間伐材や町内の林業・土木事業で発生する支障木、また荒廃地の伐採木などを引き受ける木の駅プロジェクト運営や木質チップの製造加工、センターの維持管理も担う。
旧小学校の敷地内に木材の製材所765uや加工所242u、チップ工場およびチップヤード270uなどを建設。加えて既存体育館を保管庫へと改修する。また、既存校舎の教室やトイレの改修を行う。
工事発注は町とユハラが実施。町は◇チップ工場など整備工事◇電気設備工事◇既存校舎等改修準備工事◇舗装工事−の4件を発注。ユハラは自社製品で製造を行う製材所と加工所の整備工事を担当する。
メインとなる町発注の整備工事は、木材チップの加工工場とチップヤードの建設、防護柵・防音壁、舗装などを一括とする。加工工場とヤードはS造平屋。加工工場と性質別のチップを保管するヤード2区画の計3区画に分かれる。外壁はガルバリウム鋼板、内壁にはラワン合板を採用した。建物内には端材をチップへ加工する機材やコンベアを設置する。機材類は据え付けを含む物品案件として別途で発注する考え。
既存の電気設備は、木材加工ができる規模のものへと改修する。ユハラの製材所を含む施設全体が施工対象となっている。
既存施設の改修工は、体育館と校舎の一部が対象。体育館は床材を撤去し、新たな出入口を設置。フォークリフトなどで出入りできるようにする。加えて、校舎南側に位置する2つの教室を事務室へと改修。小学校規格の既設トイレを洋式化するなど便器更新も併せて行う。改修面積は事務室とトイレを合わせて158u。ユハラの製材所周辺の舗装工は補助金の関係で、別工事で発注することになっている。
これら4つの案件は、いずれも指名競争入札で発注。5月の大型連休明けに指名通知する方針となっている。
25日に開かれた臨時議会では、電気設備の費用増や国補助金を踏まえた細目の再設定などを行った補正予算が可決されている。当初予算に計上した各工事費を減額し、新たに◇チップ工場等建設工事費1億5890万円◇校舎改修等準備工事費2660万円◇木質チッパー購入費66万円◇センター運営管理事業1816万円−を計上した。
ユハラは木材の製材所や加工所などの整備を担当。同工事も指名競争入札で発注することになっており、地域の業者を指名する。町の発注に合わせて、指名通知することになりそう。同社はセンター完成後に、既存施設を閉鎖し、拠点を移す。
施設全体の設計はアーキズムあすか設計(前橋市)が手掛けた。
町とユハラの各工事を年度内に完成させ、23年度からの活用開始を目指している。27年度の目標値として、チップ生産量1320t/年を掲げる。原木処理は7600立方m/年で製品化は4560立方m/年となっている。チップは町役場や四万地区の日帰り温泉施設、四万へき地診療所などの公共施設で活用するほか、販売も行う。