第2期棟新設、2倍に拡張 需要増見据え計画、24年3月完成へ 三菱重工業鰍ヘ、長崎造船所(長崎市飽の浦町)の敷地内で航空エンジン部品の製造を手掛ける三菱重工航空エンジン樺キ崎工場の拡張を決定した。短・中距離旅客機用のエンジン部品のさらなる需要増を見据え、工場の隣接地に第2期棟を新設する計画だ。工場を現在の約2倍となる1万1000平方bに拡張する方針で、2024年3月の完成を目指す。
「三菱重工航空エンジン樺キ崎工場」は、航空エンジンの重要部位である燃焼器の製造に特化した九州地区初の本格的な航空機関連工場。燃焼器部品の素材受け入れから加工、組立まで一貫して手掛けることができる生産ラインを有している。
また、加工難度が極めて高い航空エンジン部品を高効率で製造するため、最新鋭の工作機械や自動搬送・自動工具交換システム等の自動化・省人化技術を導入。世界最高レベルの生産性を実現している。
旺盛な狭胴機需要に応えるため、エアバス社はA320neoの段階的な増産を計画しており、PW1100G―JMの燃焼器部品とそのアフターサービスに対する需要は、今後数年間で倍増する見通しだ。また、海外メーカーに委託している一部の製造工程を取り込み、燃焼器の完全一貫生産を実現するとともに、生産設備を増強して大幅な増産に備えることとしている。
これに伴い、第1期棟の北側および東側の隣接地に第2期棟を建設、工場を現在の約5400平方bから約2倍の1万1000平方bに拡張する計画。内製力とコスト競争力をより強化するとともに、アフターコロナで再成長が見込まれる業界ニーズに的確に応えられる体制を整える構えだ。
三菱重工航空エンジン樺キ崎工場の拡張について大石賢吾知事は「第1期棟が2020年11月の稼働開始以降、順調に稼働する中、現在の2倍の規模となる工場拡張であり大変ありがたい。両社に対しては、かねてより長崎での事業拡大を強くお願いしてきたところであり、今回の決定に深く感謝申し上げる。これまでに県では、県内中小企業の航空機産業分野への参入を促進するため、「長崎県航空機産業クラスター協議会」を中心に支援を強化している。工場拡張が参入に向けて大きな弾みとなることを期待している」とコメントした。