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建設経済新聞社
2022/04/26

【京都】橋りょう長寿命化修繕計画を改訂 修繕工事に新技術等活用へ 設計段階から比較検討実施

 京都市はこのほど、橋りょう長寿命化修繕計画の改訂版をまとめ明らかにした。
 同計画は平成23年12月に策定。その後、点検結果等を反映し平成29年2月に改訂した。今回も点検結果を反映し令和4年3月に改訂を行った。
 市管理橋りょうは、令和3年4月時点で2943橋。昭和30年から昭和48年までの高度経済成長期に全体の約33%が集中的に建設され、建設後50年を経過した老朽化の進んだ橋りょうは約54%を占める。20年後の令和23年には建設後50年を経過する橋りょうの割合は約88%となり、近い将来、橋りょうの大量更新期を迎えることが予想される。
 市は、長寿命化修繕計画を軸とした維持管理の実施により、橋りょうの長寿命化と維持管理の効率向上を図るとともに、「安全・安心な市民生活と社会経済活動の基礎となる道路ネットワーク機能の確保と維持」と「維持管理にかかるコストの縮減と予算の平準化」を目指す。
 長寿命化修繕計画の対象は、京都市建設局が管理する全ての道路橋(2943橋)。
 橋りょうの健全度判定によると、判定区分T「健全」(構造物の機能に支障が生じていない状態)が929橋(32%)、U「予防保全段階」(構造物の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から処置を講ずることが望ましい状態)が1718橋(58%)、V「早期対策段階」(構造物の機能に支障が生じている可能性があり、早期に対策を講ずべき状態)が296橋(10%)、W「緊急対策段階」(構造物の機能に支障が生じている、又は生じる可能性が著しく高く、緊急に対策を講ずべき状態)が0橋。
 早期に対策が必要な健全度Vの橋りょうについて、損傷の度合いを中心に、路線の重要度(緊急輸送道路、幹線道路、準幹線道路、バス路線、通学路等)を踏まえ優先順位を設定し、対策を進める。
 また橋長が長い橋りょうは、橋りょうの損傷が大きくなる前の健全度Uの予防保全段階で予防的な対策を実施し、橋りょうの長寿命化を図る。
 市管理の全ての橋りょうの点検、修繕、架け替えに必要となる費用(100年間)は、予防保全型修繕の場合で約2000億円、事後保全型修繕の場合で約3300億円を見込み、予防保全型修繕による維持管理を行うことで、約39%のコスト縮減効果が期待できるとした。
 橋りょう長寿命化修繕計画では、短期的な数値目標を設定。令和4年度以降の法定点検を行う全ての橋りょうについて、ドローンに代表される新技術等の活用を検討し、特に法定点検の1巡目で橋りょう点検車等を使用した橋りょう(約150橋)は重点的に検討する。新技術等の活用により令和4年度から8年度の5年間で約1000万円の費用縮減を目指す。
 令和4年度以降の修繕工事を行う全ての橋りょうについて、費用の縮減や事業の効率化等の効果が見込まれる新技術等を活用するための比較検討を設計段階から行う。
 う回路の有無、利用状況等を考慮し、集約が可能な橋りょうは集約化・撤去を目指すとし、大石道跨線橋を令和8年度までに撤去し、今後100年間のライフルサイクルコストについて、約2億円の費用縮減を目指す。
 なお新幹線を跨ぐ大石道跨線橋(山科区上花山久保町、橋長36m、幅員2・3m、鋼橋)は、「いのちを守る 橋りょう健全化プログラム」(第3期)(令和4〜8年度)において対象橋りょうとしている。
 橋長が短く桁下の低い橋りょうは直営点検を導入し、点検費用の縮減を図っている。令和元年度から5年度の5年間で直営点検を約1500橋予定しており、点検費用を約3億円縮減する。