建通新聞社(神奈川)
2022/04/26
【神奈川】川崎市 臨海部200fの土地利用で方向性
川崎市は、JFEスチールが所有する臨海部の扇島地区222fの土地利用方針の検討状況(中間報告)を取りまとめた。土地利用の方向性として、水素の供給拠点などカーボンニュートラルを先導する機能や災害時の復旧・復興支援機能、革新的技術などの研究・開発機能の導入を打ち出し、併せて「常に進化するスーパーシティを形成」することの実現可能性を検討する。JFEスチールと連携し、2030年度までに一部土地の供用を開始する目標だ。市は本年度中の土地利用方針の策定を目指して「扇島地区土地利用検討会議」を5月中に開催、先行的に導入する機能や基盤整備など具体的なテーマについての議論に入る。
JFEスチールが扇島地区にある高炉等設備を23年9月に休止することとなり、市とJFEホールディングスで臨海部地域の持続的な発展に向けた土地利用を進めることについて相互に協力する協定を締結。広大な土地の有効活用について調整を進めている。
導入機能については、@カーボンニュートラルを先導A首都圏の強靱(きょうじん)化を実現B新たな価値や革新的技術を創造C未来を体験できるフィールドの創出―とした土地利用の方向性を踏まえて検討する。
検討例として▽扇島にある大水深バース、周辺で既に導入が進むカーボンニュートラルエネルギーなどを生かしたカーボンニュートラルエネルギーを供給・運搬・利用する機能の整備▽首都圏各地の防災拠点と連携する復旧・復興支援機能や多目的なオープンスペースの整備▽設備のスマート化や輸送の効率化、カーボンニュートラル化に資する高度な物流や次世代モビリティ、AI、IoT、ロボティクスなどの研究・開発機能の整備▽国の未来を創造するあらゆる最新のサービスをいち早く実装し、ショーケースのように体感できる環境や機能の整備―などを提示。検討会議での議論などを踏まえて具体化する。
市は、昨年度に6回開いた検討会議を本年度も開催し、議論を深める。これまでの検討状況を踏まえ、導入機能や基盤整備など具体的なテーマを示して検討会議で学識経験者らに意見を求める。国や民間企業などへのヒアリングも行い、22年度中に土地利用方針を策定する。
本年度中に土地利用方針をまとめ、整備計画の策定などを具体的に進めていくことになり、30年度までの一部土地の供用開始を目指して取り組んでいく。 提供:建通新聞社