静岡県は、熱海市の土石流災害を受けた盛土規制条例の制定に伴い、4月1日に「盛土対策課」を発足させた。条例が施行される7月1日以降、県全域で土地の用途を問わず、区域1000平方b以上か、土量1000立法b以上の盛土は許可の対象になる。国会で審議が始まった盛土対策法案の成立を待たず、災害に被災した静岡で不適正な盛土に対する監視体制が強化される。
熱海市の被災を受け、全国でも最も厳しいレベルの規制を適用する。盛土規制法案は、成立後1年以内に施行する予定だが、県内では法案とほぼ同じ水準の規制が7月から先行してスタートする。
条例では、1000平方b以上か、土量1000立法b以上の盛土を施工する場合、土地所有者の同意を得た上での許可申請を求める。盛土が構造基準と環境基準をクリアしていることに加え、災害防止措置(擁壁、排水施設などの設置)を講じていないと、許可を受けることはできない。
許可を受けた後も、土砂搬入時の事前報告、管理台帳への記載、水質調査・土質調査、完了時の届け出、完了検査などが必要になる。従来の土採取等規制条例で罰金20万円以下だった罰則も懲役2年以下・罰金100万円以下に強化する。現行の届け出には必要のない手数料も、許可申請時には6万8000円を新たに徴収されるようになる。
これまで市町に移譲していた許可事務は原則として県に一元化する。盛土対策課は許可審査に加え、土木事務所、農林事務所、健康福祉センターなどと連携し、不適正な盛土に対する監視・指導体制を構築する。条例の施行に合わせ、通報窓口「盛土110番」も設置する。
県が統一的に許可制を運用するものの、現在も独自に許可制を導入している東部7市町では、県条例の要件を下回る面積500〜1000平方bか、土量500〜1000立法bの盛土に限り、7月以降も引き続き許可制を運用する。
一方、盛土規制法案では、都道府県が指定する区域内で許可制を導入する。県内の全域で許可制を導入する県は、法施行後の条例改正などにより、新法と県条例の整合を図る考えだ。
提供:建通新聞社