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日刊建設工業新聞
2022/04/01

【鳥取】検討会がまとめ/集水井工など抑制工が中心/大呂地区地すべり対策工

 智頭町大呂地区の地すべり対策を話し合う検討会(座長・藤村尚鳥取大学名誉教授)は3月29日、地下水位を下げる抑制工を中心とした対策工をまとめた。向こう5年間で集水井などを施工し、地下水の排除に重点を置く。
 「平成30年7月豪雨」の影響で、大呂山に地すべりの兆候が再発し、2019年4月と20年3月には小規模な崩落が発生。検討会では19年度から伸縮計のデータや追加ボーリングの調査結果をもとに対策の内容を議論してきた。
 対策工は、地下水を多く含む地すべり面北東部の頭部付近の排水を優先する。地すべり頭部に浸透防止工2800平方bを施工した上で、集水井3基を新設。合わせて既存の集水井1基と横ボーリング8カ所を掘り直す。さらに、横ボーリング2カ所を新設することによって地下水を排除する。計画期間はおおむね5年間。
 ただ斜面末端の土塊については、対策工の効果が出る前に崩落する恐れがあり、万が一に備え下方の北股川と県道津山智頭八東線の機能を維持するため仮排水管やう回路を整備する。
 また、斜面4ブロックに分かれる土塊それぞれの崩落をシミュレーション。最も大きい土塊ブロック79万立方bが崩落すれば、河道が閉塞して高さ28bの天然ダムを形成。全面復旧には排土工などに37億円を試算した。
 計画に対し地元の委員は、雨量や斜面に異変があれば早めの情報提供を求め、地元との連絡体制の強化を要望。抜本対策では県道のトンネル化をあらためて要請した。
 会合後、県治山砂防課は「新年度は浸透防止工から対策を進める」と本紙の取材に答え、斜面頭部からの流入水を抑える工事から対策着手する見通しを示した。

日刊建設工業新聞