柏市は、2022年度末の市立柏病院建て替え基本計画策定に向け、支援業務を同年度早々に委託する。基本計画策定に当たり、社会情勢や公立病院としての役割を踏まえて診療科目や部門などを固めるほか、建設位置、施設規模、医療機器、事業手法といった多角的な視点から検討を行い、収支シミュレーションを実施。事業手法については、デザインビルド(DB)方式など、民間活力の導入も検討する。23年度に基本設計、24年度には実施設計をまとめ、25年度にも工事着手、27〜28年度の開院を目指す。
基本計画策定支援業務委託料などについては、22年度病院事業会計当初予算に2000万円を計上した。支援業務ではスタッフへのヒアリングを行い、策定支援業者の外部知見を活用するほか、パブリックコメントを実施する予定。
布施1―3の敷地面積約3・6haに所在する市立柏病院は、1976年〜78年に建設された旧国立柏病院の建物を使用しており、老朽化が著しい。2018年3月には「市立柏病院のあり方」を策定した。
建設地に関して現地と移転の両面から検討がれてきたが、太田和美市長は21年第4回定例議会において「すでに地域包括ケアの一翼を担っており、移転の場合、地域間の医療提供のバランスが崩れる恐れがある」として、現地での建て替えを進めていくことを表明した。
さらに、第1回定例議会一般質問で古川隆史議員(柏清風)から寄せられた建て替え場所や経営改善の具体的な方法に関する質問に対し、改めて現地建て替えを進めていく方向性を示した上で、「経営改善については、病床使用率80%を目指し、部署の垣根を超えた病床の使用や患者の紹介・逆紹介を促す」とした。続けて、公立病院としての意義を実現するため「公共の福祉という観点から、独立採算を目標にしつつ、整備の必要性や役割を検討する」との考えを示した。
現行の施設概要は▽外来管理治療棟=RC造2階建て、延べ床面積5255・96u▽病棟=RC造4階建て、延べ床面積4323・15u▽サービス棟=RC造平屋、床面積997・62u▽医師宿舎=CB造2階建て、延べ床面積260・76u▽看護師宿舎=RC造4階建て、延べ床面積399・92u▽院内保育所=木造・モルタル造平屋、床面積99・79u▽事務棟、特別診察室ほか=延べ床面積784・11u――となっている。
病床数は一般病床149床、地域包括ケア病床51床。診療科目は16科。専門外来は10科。そのほか、健診センターなどがある。
現地建て替えの場合、建設位置については敷地北側のA案、敷地南西側のB案、敷地中央のC案が考えられる。延べ床面積1万5000u(1床あたり75u)と仮定した場合の建築工事費に57億円〜75億円程度と試算。
そのほか、医療機器等整備費約15億円、外構工事費約3億円、基本・実施設計、工事監理費約2・1億円〜3億円程度などを要するとしている。