富山県内では、上市地区を筆頭に骨材が枯渇し、供給体制のひっ迫が深刻化している。骨材は生コンクリートの主要原料として不可欠な資材であり、安定供給に向けた対応が急務の状況だ。
上市地区を含む富山地区は、骨材需要が県内で最も旺盛である反面、近年の規制強化や原石土質の問題により、骨材採取地の確保が大変厳しい状況であり、地区内の採取量だけでは、需要に対応できなくなっている。
特に上市地区では、採取地確保の困難化が顕著であり、神通地区においては顧客の承認を得て、呉西地区への納入シェア変更が拡大しつつある。
中でも上市地区は、2015(平成27)年の「滑川問題」以降、滑川市や上市町での陸砂利採取が禁止され、早月川の河川砂利採取に頼る状況となった。その河川については、17年8月に「富山県河川砂利の採取等に係る許認可要綱」が施行されたことを受け、県下一律の基準で認可が行われることになり、早月川での採取量に事実上の制限が加わり、今日に至っている。
県内14組合からなる富山県土石業協同組合連合会の構成員である、東部土石採取販売協同組合(上市町北島)の理事長で、富山県骨材販売協同組合上市支部長の竹島信弘氏は、「県の河川砂利採取の許認可要綱が施行されて以来、当組合の選別土砂(原石)採取量は3分の1に落ち込んだ。現時点では昨年の在庫を販売するのみで、当面採取の見込みもなく、上市区域内での事業継続の困難が必至」と述べた上で、「河川の砂利採取は県の許認可要綱が大きく影響しており、上市区域内では平地での陸砂利採取が認められていないため、山間地で計画しているが、土地の公図と現況の相違、未相続などの課題により、計画が棚上げとなっており、資源があっても着手できないのが現状」と説明する。
さらに、「隣接組合からの協力も品質や距離的な問題があり、地産地消しか手立てがない。組合員各社の経営存続危機をはじめ、上市町や地元建設業者といった得意先への骨材供給ができないだけでなく、既に契約済みの納入履行すら危ぶまれ、大きな補償問題にもなりかねない。4月からの新年度骨材納入契約の締結が出来ないのではと懸念している」と窮状を訴える。
一方、県骨材販売協同組合の山田静宏理事長(県土石業協同組合連合会理事)は、「陸砂利の採取は、地主の許可がなければ掘れず、年々採取場所の確保が厳しくなっている。現在の骨材供給ペースで推移すると、今は問題のない呉西地域で10年程度、黒部川水系でも20年程度で骨材が枯渇すると言われている。代替資源として考えられている石灰石は、すぐに使用できる環境にはない」と厳しい現状を説く。
また、「骨材は限りある資源であり、近い将来にはなくなる。供給体制を維持するため、ここ数年は呉西支部に販売のシェアを移行するなど、支部間調整で対応しているが、年々増加しているのが実態。現在の状況を打開するには、山砕石への移行が現実的ではあるが、コストの面と保安林解除に向けたハードルがあり、県当局との協議を進めている。骨材を原料とする生コンや二次製品、アスコンは、社会資本の充実や国土強靱化の推進に必要不可欠であり、安定供給に向けた体制構築へ、様々な可能性を模索していきたい」と話している。