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建設経済新聞社
2022/03/10

【京都】公共施設等で長寿命化対策試算 公共建築物は年約66億円効果 インフラは年約36億円見込む

 京都府は8日、公共施設等管理方針の改定案を明らかにした。
 計画期間(平成29年度〜令和8年度)が中間年度を迎えることから、国の新たな通知(令和3年1月)も踏まえ改定した。
 主な改定の1つ目は、公共施設等の状態や取組状況等の時点更新。
 公共建築物は、京都スタジアム、警察本部庁舎等の完成により延べ床面積が全体で6%上昇、築30年以上の建築物が全体の68%を占め、全体的に老朽化が進行。インフラは、新設道路の完成により舗装延長やトンネル数が増加(その他のインフラ施設は横ばい)、橋りょうでは建設後50年以上の施設が全体の42%を占めるなど全体的に老朽化が進行。
 2つ目は、令和2年度までに策定した個別施設計画を踏まえた見直し。
 大学法人所有建物を「府民・文化施設」として新たに数量等を計上した。
 また施設類型の区分を見直し、府立学校と社会教育施設等(教育庁所管分)を教育施設として統一した。
 3つ目は、中長期的な維持管理・更新コストに係る長寿命化対策の効果額等の追加。
 公共建築物(庁舎等施設、教育施設、警察施設)と、インフラ(府営住宅を含む建設交通部所管施設(公営企業を除く))とに分けて、総務省推奨の公共施設等更新費用試算ソフト等により、今後40年間(平成28年度〜令和37年度)における維持管理・更新コストを試算した結果、長寿命化等の対策を講じた場合、公共建築物が約4700億円(約118億円/年)、インフラが約6700億円(約168億円/年)と推計。令和3年度に改めて試算したところ、原材料費及び労務費等の上昇を主な要因として増額する結果となった。
 期間35年度(令和3年度〜令和37年度)で試算した結果、公共建築物は「長寿命化対策なし」で約199億円/年、「長寿命化対策あり」で約133億円/年となり、対策の効果額は約66億円/年。
 これをインフラでみると、「長寿命化対策なし」で約235億円/年、「長寿命化対策あり」で約199億円/年となり、対策の効果額は約36億円/年。
 健全な財政運営を図るため、予防保全型の維持管理等による長寿命化対策の実施や、府有資産利活用推進プランに基づく施設等の売却による財源確保等により、財政負担の軽減・平準化を目指す。
 施設類型ごとの管理に関する基本的な方針の主なものをみると、府民・文化施設において、府立大学の特に体育館は耐震上の問題から最優先での整備が必要とした。洛南病院は令和4年度から本格着工予定の病院建替整備により、新たな専門病床の整備など診療機能の充実・強化を図る。府立医科大学附属病院及び北部医療センターは、高度医療への対応や患者の快適性向上のため改修・整備及び老朽化対策を進める。
 教育施設は、山城地域で令和4年度に特別支援学校(井手やまぶき支援学校)を開校、乙訓地域では向日が丘支援学校の改築を行う。
 職員住宅は、今後の管理の方向性を検討。建替え時期が到来した建物等は民間借上げなどの方策も含め検証を実施。教育庁の職員向け住宅との将来的な集約化等も視野に入れ、継続的に検証を実施していく。
 府営住宅は、建替え事業において、PFI事業等、民間活力の導入も含めたイニシャルコストの縮減を図る。
 コスト縮減と予算の平準化を図りながら、建替え、集約、改善、再編整備を効率的に進める。平成28年度〜令和7年度の当面10年間で、建替え・改善等により、約1000戸を集約することとしている。
 道路施設は、大規模補修や更新を伴う事業は、バイパス整備や道路改良等の新設改良事業を活用し、効率的に老朽化対策を実施。緊急輸送道路に架かる橋梁については、地震時の落橋対策は完了しているが、引き続き、路面に大きな段差が生じない対策を重点的に実施する予定。
 河川施設は、鉄道や道路を横過する府内12の水路橋について5橋の耐震化が完了しており、残る7橋も計画的に耐震化を進める。
 公園施設について、耐震対策が必要と診断された5棟のうち4棟で改修が完了。令和4年度から、残る丹波自然運動公園の浄水施設の耐震改修工事に着手する。
 電気は、今後の経営状況、特に令和13年度以降の厳しい状況を見据えると、抜本的な経営のあり方検討が必要とし、O&M(運用と保守)等の民間委託、指定管理者制度や公共施設等運営権方式(コンセッション方式)等のPPP/PFI等の民間的経営手法の導入も積極的に検討する。
 水道は、宇治系管路について、平成29年度に城陽線の更新が完了。令和4年度に幹線の更新を完了させる予定。宇治系管路の完了に引き続き、液状化の可能性が高い上、耐震性が比較的低く経年管となる木津系管路に着手する。
 流域下水道について、処理施設は沈殿・消毒のみを行い簡易放流できるラインを概ね1ルート確保済みであり、引き続き未対策箇所の建設年次に応じた耐震診断を実施し、設備の改築更新に合わせた耐震補強を進める。